電気で絶好調の東京ガス、100万件獲得を前倒し達成電力供給サービス

東京ガスは、電気の申し込み件数が100万件を突破したと発表。計画を大幅上回るペースで、今後は2020年度中までに累計220万の獲得を目指す方針だ。

» 2017年10月31日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2016年4月の電力の小売全面自由化以降、東京ガスの好調が続いている。同社は2017年10月26日に、電気の申し込み件数が累計100万件を突破したと発表。当初の計画では2017年度末までに100万件の獲得を目指していたが、目標を大幅に上回るペースでの達成となった。

 東京ガスの主力プランは、電気とガスのセット割引きを押し出した「ずっともプラン」だ。獲得した100万件のうち、約7割は各地域でガス機器の保安業務を担うグループ会社のライフバル、エネスタを通して切り替えを行ったという。顧客への対面営業が可能な、既存の営業ネットワークが大きな強みとなっていることが分かる。

申込件数の推移 出典:東京ガス

 今後東京ガスは、2020年度までに220万件の獲得を目指す方針だ。この新たな目標に向けた取り組みの1つとして、ずっともプランの加入者向けサービスを拡充する。直近では、顧客からの要望が多かった、生活まわりのサポートサービスを拡充した。新たに月額540円でガス機器の修理保証や買い替え特典を提供する「ガス機器スペシャルサポート」の提供、生活まわりの駆け付けサービスの無料期間延長、セコムとの業務提携による見守りサービスオプションの追加などを実施する。さらに、ハウスクリーニングサービスを提供しているカジタクとも業務提携し、東京ガスのユーザーは同社のサービスが割引価格で利用できるなどの特典サービスも展開していく。

 この他、顧客からの要望に答えた施策として、「見づらい」という声が多かった検針票のデザインの刷新も行う。合計部と明細部に分け、使用量や請求金額などの文字を見やすくする他、ガスとともに電気の契約および料金の明細も確認できるようにする。

新しい検針票のデザイン 出典:東京ガス

切り替えに消極的な顧客をどう切り替えるか

 東京ガスの主戦場である首都圏エリアは、関西エリアと比較して都市ガスの販売競争が穏やかといわれることも多い。しかし、東京電力エナジーパートーナー(東電EP)がニチガスと共同でガス事業の拡大に注力している他、最近では東京電力フュエル&パワー、JXTGエネルギー、大阪ガスの3社が、川崎市川崎区の臨海部で都市ガスの製造・供給を実施する新会社の設立を発表。今後、東電EPに加え、JXTGエネルギーや大阪ガスが関東圏での都市ガス販売に参入してくることも考えられる。

 こうした背景から今後首都圏での競争が激しくなることを考えると、まだ切り替えを行っていない、潜在的な顧客に対してどのようにアプローチしていくかも重要になってくる。東京ガスは同社の会員サービス「myTOKYOGAS」を通して、“東京ガスの電気”にまだ切り替えていないユーザーに対し、その理由を聞いている。その結果をみると、「電気料金が安くなりそうにない」「手続きが面倒」といった回答が上位にランクインしている。同社は今後、こうしたまだ切り替えを行っていない顧客に対し、より割安な料金メニューや、新たしいサービスの提供に向けた準備も進めるとしている。

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