EVのワイヤレス充電装置、ついに市場へ電気自動車

ダイヘンが電気自動車用のワイヤレス充電システムを商品化。実証実験用として受注を開始した。

» 2017年11月08日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 ダイヘンは2017年11月1日、電気自動車(EV)の非接触充電を可能とするワイヤレス充電システム「D-Broad EV」を商品化し、実証試験用として国内外での受注を開始すると発表した。EV用のワイヤレス充電システムを商品化するのは、「国内初」(ダイヘン)という。

 D-Broad EVはコイルとコンデンサの組み合わせた回路に、交流電流を流すと共鳴が発生する現象を利用する「磁界共鳴方式」を採用したシステム。AC電力を高周波電力に変換する壁掛けタイプの「送電ユニット」と、高周波電力を磁界エネルギーに変換する「送電コイルユニット」で構成する。最大送受電間距離は250mmで、最大11kWでの急速充電が可能という。

「D-Broad EV」(送電コイルユニット)の外観 出典:ダイヘン

 システムは、送電ユニットにAC200Vを入力するだけで使用可能だ。さらに、オプションとして販売する車両側に取り付ける受電ユニットも販売する。これにPCを接続すると、送電出力の設定などが行える。また、送電コイルユニットは電力伝送をさまたげる異物の検知機能を搭載している。送受電コイルと車両の間に金属などが誤って挿入された場合に、それらを検知して充電を停止させられる。送電コイルユニットにPCを接続して異物検知のモニタと設定を行うことも可能だ。

 D-Broad EVは、米国自動車技術会(SAE)の電気自動車向け規格の中で、最も大きな電力に対応するWPT3に準拠し、さらに送電距離規格Z3にも準拠した設計となっており、さまざまな車種への充電に対応可能としている。

D-Broad EVのシステム構成図 出典:ダイヘン

 これまでダイヘンは、変圧器で培った磁界制御技術、半導体製造装置向けで培った高周波回路設計技術、溶接機で培った大電力インバータ技術などのコア技術を融合し、工場内などで使用するAGV(無人搬送台車)向けのワイヤレス充電システムを開発・販売してきた。これらのコア技術とワイヤレス充電製品開発のノウハウを生かし、今後はEVを対象としたD-Broadシリーズ製品も拡充する方針だ。

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