改正FITで転機となった太陽光発電、今後求められる視点は何か太陽光(3/4 ページ)

» 2017年12月14日 07時00分 公開

これからは「デューデリジェンス」が重要に

 アドラーソーラーワークスでは、太陽光発電所の設備や性能の「可視化」や「数値化」を積極的に行い、発電所に今後どのような問題が起こる可能性があるのか、今改善を行うと発電量がどの程度改善するのかといった、デューデリジェンスの観点を重要視しています。

 このような知見はアドラーソーラーワークスが立ち上がった当初、立ち上げに協力してくれたドイツのアドラーソーラーサービス(ASS)から得たものです。ドイツでは、既に再生可能エネルギーがエネルギー供給全体の25%を超えており、この分野では日本の10年先を進んでいるといっても過言ではありません。

 日本ではまだ、ビジネスの対象として「発電所のオーナー」ばかりに目がいきがちですが、ドイツでは投資会社やアセットマネジメント会社なども太陽光発電所に投資を行う立場にあり、その他にもさまざなな出資者があるという考え方が一般的です。そのため太陽光発電所に対し、資産としての利回りを気にするだけでなく、数年後の売電量が減るというリスクについてもしっかりと対策をし、厳しく数字を見ていくことが重要視されています。

デューデリジェンスに有効な「EL検査」

 このような発想をもとに考えると、今は発電量がシミュレーションを上回っているから大丈夫だと思っている発電所オーナーも、これから5年後、10年後と発電量が大きく損なわれる可能性があるという点を考慮する必要が出てきます。この可能性を判断する1つの指標として、精度の高いモジュール検査、例えばEL(エレクトロルミネセンス)検査などが考えられます。

 EL検査とは、セルのクラック(割れ)、配線不良、フィンガー断線、バイパスダイオード故障などを可視化することができる検査手法です。専用の装置を利用し、パネルを一枚一枚検査します。

EL検査装置
結晶系モジュールをEL検査装置で撮影した様子

 よく、発電所オーナーから「モジュールにクラックが入っていると、発電量は必ず落ちているのか?」という質問を受けます。答えとしては、クラックが入っていると、必ずしも発電量に影響するというわけではありません。ただし、今は発電量に影響がなかったとしても、経年劣化によりクラックが広がり、発電量が落ちてしまうケースがあります。ですので、メーカー出荷時に目に見える割れが入っていない場合でも、目に見えないクラックが入っているケースを想定したEL検査が必要になります。

 アドラーソーラーワークスが考えるEL検査の最大の意義は、太陽電池モジュールの将来を予測してその品質を確認できることです。前述の通り、クラックは発生している場所や形によって、将来的に発電損失を生むものと、生まないものがあります。

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