改正FITで転機となった太陽光発電、今後求められる視点は何か太陽光(1/4 ページ)

適正な事業計画の策定、定期点検の義務化など、2017年の太陽光発電市場は改正FIT法の施行で大きな転機を迎えた。本稿では改正FIT法によって変わったポイントを振り返るとともに、今後の太陽光発電事業に求められる視点や技術を解説する。

» 2017年12月14日 07時00分 公開

2017年の太陽光発電、改正FIT法が転機に

 2016年3月の時点で、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」による設備認定を受けた太陽光発電案件の合計は、約79.9GW(ギガワット)となっていました。一方、この中には未稼働案件が約57GW存在していました。こうした未稼働案件への対応や安全対策の強化に向けて、2017年4月1日からいわゆる「改正FIT法」が施行され、高圧の未稼働案件に関しては2017年9月30日までに接続契約を締結していない場合、認定が失効するという厳しい措置がとられるようになりました。

 改正FIT法が施行される以前のように、「とりあえず認定を取得しておこう」という申請はできなくなり、きちんと電力会社と系統連系ができるのか、連系制限がかかっていないか、その発電所は事業性があるのか――など、事業の確実性をクリアにしなければ認定を取得することができなくなりました。ある意味、太陽光発電事業に対しての“真剣度”が問われるようになったといっていいでしょう。

 2016年度までに低圧案件は36.5GW、高圧案件は39GWが建設されています。低圧の場合は、利益を圧迫するという理由で定期点検などのメンテナンス契約を結んでいないケースが多く、また、大規模発電所でメンテナンス契約をし、定期的に発電所の点検をしていても、最近の大型台風のように、今までに経験したことのないような自然災害が起こり、「台風でパネルが流される」「洪水で発電所自体が流される」などの人命にも関わるような事故も多発しています。このような事故は、単に発電所の破壊による発電事業主の損失では済まされません。

地方を訪れた際、山中で突然大規模な発電所に出くわすことも多くなりました

 この状況を受け、改正FIT法では「適切に点検・保守を行い、発電量の維持に努めること」「定期的に費用、発電量を報告すること」などの項目が追加されました。今後は、発電所の事故を未然に防ぎ、再生可能エネルギーを基幹電源とするためにも、責任を持って発電所を維持していくことが重要になってくるでしょう。

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