多種多様なソーラーシェアリング、知っておきたい設備の基本ソーラーシェアリング入門(3)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年、国内で大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回はソーラーシェアリング設備の種類やポイントについて解説する。

» 2018年10月02日 07時00分 公開

 「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」を行う上で誰もが気に掛けるのは、太陽光パネルによる遮光環境下で作物が問題なく育つかどうかです。水田や畑で太陽光を遮光することが、農作物の生育にどのような影響を与えるかについての研究は、建物の影の影響や寒冷紗(かんれいしゃ)などによる遮光実験などの先行研究が見受けられます。

 ただ、ソーラーシェアリングのように太陽光パネルによる遮光という環境は、当然ながら誰も考えることはありませんでした。その結果というべきか、2013年に一時転用許可によるソーラーシェアリングが認められるようになってから、多種多様なアプローチでの設備が建設されてきています。太陽光パネルの配置や支柱の材質、基礎の構造、そして作物の栽培方法などにいろいろなパターンが生まれました。

 最もベーシックなソーラーシェアリングの設備形態が、ソーラーシェアリング発案者である長島彬氏の提唱する「藤棚式」のレイアウトです。これは、太陽光パネルを1枚ずつ均等に配置する設計です。その他に、野立て用の太陽光発電設備に使われるアレイ式架台の支柱を伸ばした「足高式」や、角度をつけないでモザイク状に太陽光パネルを配置する「市松式」などの形式が見られます。その他に、一軸追尾式や二軸追尾式など太陽の動きに合わせてパネルの角度が自動で変わるものや、手動で角度を変えられるものなどもあります。

足高式のソーラーシェアリング設備の例

 支柱には単管パイプから鉄、アルミやFRPなどさまざまな素材が使われており、野立ての太陽光発電に使われる架台を転用したものからソーラーシェアリング専用設計の架台まで、とにかく試行錯誤が繰り返されてきました。支柱を支える基礎も「簡易な構造で容易に撤去できるものに限る」とする農水省の通知内容から、当初はスクリュー杭(くい)などの使用が認められず、単管パイプをそのまま打ち込んだり、コンクリートで独立基礎を作ったりと、こちらも試行錯誤が重ねられていました。

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