太陽光の“未稼働案件”は30GW以上に、FIT認定量は既に30年目標超え太陽光

FIT価格を議論する「調達価格算等算定委員会」で、2018年3月末時点における太陽光発電などの導入量が公開された。改正FIT法に移行した認定容量は約70.1GWで、未稼働案件は30GW以上残っていることが明らかになった。

» 2018年10月11日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の買取価格を検討する政府の「調達価格等算定委員会」が2018年10月1日に開かれ、2019年度の買取価格についての議論がスタート。その中で経済産業省が提出した資料で、2018年3月末時点における再エネ電源の導入量が公開された。

 それによると、2018年3月末時点で導入された太陽光発電の容量は「FIT前導入量+FIT認定量」の合計で約75.7GW(ギガワット)となった。FIT前導入量の約5.6GWを除くと、約70.1GWの太陽光発電がFIT認定を受けていることになる。FIT前導入量を加えると、既に政府が2030年の電源構成(エネルギーミックス)目標で掲げる太陽光発電の導入量、64GWを10GW以上超えている状況だ。

再可能エネルギーの導入および認定状況と、2030年の電源構成目標に対する進捗率(単位=kW)。数値は改正FIT法による失効分も反映したもの 出典:経済産業省

 一方、75.7GWのうち、実際に稼働している太陽光発電の設備容量(導入量)は、2018年3月末時点で約44.5GWという数値も公表された。2030年の電源構成目標64GWに対して、70%の進捗(しんちょく)率となる。

 2018年3月末時点でのFIT認定量が75.7GW、導入量(稼働済み案件)が約44.5GWということは、約31.2GWの太陽光発電が未稼働という試算になる。その大半が事業用の太陽光発電だ。経済産業省の資料によると、2018年4〜6月に2017年度の価格でFIT認定を行った設備を含めると、現状、未稼働の事業用太陽光発電設備の容量は34.297GWある。これを年度別でみると、FIT開始直後で買取価格が高い2012年からの3年間に認定された設備だけで、23.515GWもの未稼働案件が存在している。

事業用太陽光発電のFIT認定案件の稼働状況(単位=MW) 出典:経済産業省

 未稼働とはいえ、これらの案件は電力系統の「枠」を抑えており、場合によっては新規電源の接続を阻害する要因になる。政府はこうした未稼働案件への対策として改正FIT法を施行し、「事業認定」の仕組みを導入することで、稼働の見通しが低い案件を一層する取り組みを進めてきた。裏を返せば、現在残っている未稼働案件は改正FIT法の基準をクリアしている案件ということになる。

 一方、政府は今後の「第5次エネルギー基本計画」の中で、今後のFIT制度について、賦課金による国民負担の抑制などを目指し、2020年度末までに「抜本的な見直し」を行うという方針を掲げている。買取価格が高いFIT開始初期に認定を受けた未稼働案件については、「低価格化が進んだ資材を利用できる点が不公平」といった指摘もある。このことから今後、同委員会などで買取価格の減額や、運転開始期限の設定といった対策の検討が進む可能性が高くなってきた。

 なお、太陽光発電以外を含む2018年3月末時点のFIT認定容量は、2018年3月末時点で約85.24GWで、FIT制度開始後に新たに運転を開始した設備は、ほぼ半数の約41.48GWとなっている。FIT制度開始後に新たに運転を開始した設備の約94%、FIT認定容量の約82%を太陽光発電が占めている。

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