スマートエネルギーWeek 2019 特集

木質バイオマスの利用が加速、FITで発電用途の間伐材利用が増加傾向に自然エネルギー

林野庁が「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」の結果を公表。2017年にエネルギーとして利用された木質バイオマスは、木材チップ、木質ペレット、薪(まき)、木粉の全てで前年比増となった。

» 2019年01月21日 09時00分 公開
[スマートジャパン]

 林野庁は2018年12月、毎年行っている「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」について、2017年の調査結果を公表した。対象となる全国1447事業所のうち1398事業所から回答があり、2017年にエネルギーとして利用された木質バイオマスは、木材チップ、木質ペレット、薪(まき)、木粉の全てで前年比増となった。

 木材チップのうち間伐材・林地残材等に由来するものの利用量は、前年に比べて37.4%増加し、特に発電を行う事業所における利用が大きく増えた。発電機数は、前年に比べ24基増加しており、用途別に見ると、売電を目的としたものが19基増加。「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の認定を受けた複数の木質バイオマス発電施設が稼働を開始したことにより、間伐材・林地残材等に由来する木材チップが多量に使われ始めたことを示している。

 ボイラー数は、前年に比べ86基増加した。種類別に見ると、おが粉を燃料とするものが若干減少する一方で、木くず、ペレット、薪を燃料とするものが増加した。用途別に見ると、暖房や給湯に利用するボイラー基数が増えた。

木質バイオマスの利用量

 2017年にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、「木材チップ」で873万絶乾トン(前年比12.8%増)、「木質ペレット」で38万トン(同75.2%増)、「薪」で6万トン(同27.5%増)、「木粉(おが粉)」で41万トン(同25.8%増)などとなった。

 このうち、木材チップに着目して、利用量を由来別にみると、「間伐材・林地残材等」が263万絶乾トン(前年比37.4%増、構成比30.2%)、「製材等残材」が150万絶乾トン(同9.0%減、同17.2%)、「建設資材廃棄物(解体材、廃材)」が413万絶乾トン(同3.7%増、同47.3%)と推移した。

 木材チップの利用量を利用機器の所有形態別では「発電機のみ所有」が449万絶乾トン(前年比13.2%増)、「ボイラーのみ所有」が115万絶乾トン(同7.4%減)、「発電機およびボイラーの両方を所有」が309万絶乾トン(同22.2%増)だった。特に、間伐材・林地残材等に由来する木材チップについては、「発電機のみ所有」が212万絶乾トン(前年比41.5%増)、「ボイラーのみ所有」が11万絶乾トン(同9.5%増)、「発電機およびボイラーの両方を所有」が41万絶乾トン(同26.6%増)となった。

 事業所の数は、合計1398事業所(前年比55事業所増)で、業種別に見ると、「製材業、木製品製造業」が251事業所(構成比18.0%)で最も多く、次いで、「一般公衆浴場業、その他の公衆浴場業(温泉)」が139事業所(同9.9%)、「農業」が93事業所(同6.7%)、「宿泊業」が90事業所(同6.4%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」が86事業所(同6.2%)、「老人福祉、介護事業、障害者福祉事業」が73事業所(同5.2%)などと続いた。

 発電機の数は、合計264基(前年比24基増)で、業種別に見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が96基(構成比36.4%)、「パルプ・紙・紙加工品製造業」が69基(同26.1%)が上位となった。種類別では、「蒸気タービン」が223基(同84.5%)、「オーガニック・ランキン・サイクル(ORC)」が10基(同3.8%)、「ガス化」が26基(同9.8%)などだった。また、総数のうち、熱電併給を行う発電機は、118基(構成比44.7%)、同じく総数のうちFIT制度により売電している発電機は108基(構成比40.9%)となり、電気の用途別では、「自社又は自社関連施設等で利用」が146基(構成比55.3%)、「売電」が117基(同44.3%)などとなった。

都道府県別では北海道が最多

 都道府県別で木質バイオマスエネルギー利用機器の所有形態別事業所数が最も多かったのは、北海道の162事業所。続いて岩手県102事業所、高知県80事業所、宮崎県62事業所、岐阜県56事業者などが上位を占めた。木質バイオマスの利用量は茨城県が70万8803絶乾トンで最多となり、静岡県(65万4852絶乾トン)、北海道(55万2992絶乾トン)、宮崎県(47万2533絶乾トン)、福島県(39万5786絶乾トン)が続いた。

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