木質バイオマスの利用動向、ペレットの使用量が急増自然エネルギー

林野庁は2016年に国内でエネルギーとして使われた木質バイオマスの利用動向の調査結果を発表。前年比で木材チップは12%、木質ペレットは34.1%増加している。

» 2018年01月16日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 林野庁は2017年12月、2016年(平成28年)の木材チップ、木質ペレット、薪、木粉(おが粉)など木質バイオマスのエネルギー利用動向調査を実施し、その結果を公表した。

 同年にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、「木材チップ」で773万絶乾トン(含水率0%での絶乾比重に基づき算出された実重量、以下同、前年比12.0%増)、「木質ペレット」で21万トン(同34.1%増)、「薪(まき)」で5万トン(同2.6%減)、「木粉(おが粉)」で32万トン(同12.0%減)などとなった。

 このうち、木材チップの利用量を由来別にみると、「間伐材・林地残材等」が192万絶乾トン(前年比64.2%増、構成比24.8%)と最も構成比が高く、「製材等残材」165万絶乾トン(同15.5%増、同21.3%)、「建設資材廃棄物(解体材、廃材)」398万絶乾トン(同5.2%減、同51.5%)が続く。

 木材チップの利用量を利用機器の所有形態別でみると「発電機のみ所有」が397万絶乾トン(前年比30.7%増)、「ボイラーのみ所有」が124万絶乾トン(同4.4%増)、「発電機及びボイラーの両方を所有」が253万絶乾トン(同5.8%減)の順となった。特に間伐材・林地残材などに由来する木材チップは、「発電機のみ所有」が150万絶乾トン(前年比102.2%増)、「ボイラーのみ所有」が10万絶乾トン(同5.5%減)、「発電機及びボイラーの両方を所有」が32万絶乾トン(同0.4%減)だった。

 事業所の数は、合計1343事業所(前年比27事業所増)で、業種別では「製材業、木製品製造業」が247事業所(構成比18.4%)で最も多く、次いで、「一般公衆浴場業、その他の公衆浴場業(温泉)」が131事業所(同9.8%)、「農業」が100事業所(同7.4%)、「宿泊業」が85事業所(同6.3%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」が79事業所(同5.9%)、「老人福祉、介護事業、障害者福祉事業」が70事業所(同5.2%)などとなっている。

 発電機の数は、合計240基(前年比8基増)で、業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が86基(構成比35.8%)、「パルプ・紙・紙加工品製造業」が63基(同26.3%)などとなった。種類別は、「蒸気タービン」が209基(同87.1%)、「オーガニック・ランキン・サイクル(ORC)」2基(同0.8%)、「ガス化」20基(同8.3%)などが多い。また、総数のうち、熱電併給を行う発電機は、90基(構成比37.5%)だった。

 電気の用途別では、「自社又は自社関連施設等で利用」135基(構成比56.3%)、「売電」98基(同40.8%)と、この2つの用途がほとんどを占めた。

 ボイラーの数は、合計1972基(前年比27基増)となった。業種別に見ると、「農業」375基(構成比19.0%)、「製材業、木製品製造業」284基(同14.4%)などが多い。

 種類別では、「ペレットボイラー」が915基(構成比46.4%)、「木くず焚きボイラー」が780基(同39.6%)、「薪ボイラー」が156基(同7.9%)などとなった。

 用途別では、「暖房のみ」が689基(構成比34.9%)、「給湯」が369基(同18.7%)、「木材の乾燥」が353基(同17.9%)など。

 2016年に補助金を活用して取得された設備は、発電機で5基、ボイラーで67基、附帯設備などで15基だった。このうち、ボイラーについて、業種別に見ると、「宿泊業」が9基、「電気・ガス・熱供給・水道業」が8基、「学校教育」が7基などとなっている。

 なお、都道府県別では発電機の数は前年から9基減少したものの北海道が25基で最多。福島県が15基、山口県が14基の順。ボイラー数は高知県が285基で最も多く、続いて熊本県が183基、北海道180基という結果となった。

エネルギーとして利用された、利用機器の所有形態別木質バイオマスの種類別利用量 出典:林野庁

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