ブロックチェーンで電力をP2P取引、丸紅が米企業と日本で実証実験エネルギー管理

丸紅は米国のLO3 Energと共同で、日本国内でブロックチェーン技術を用いた電力の「P2P取引」の関する実証実験を開始。発電事業者と需要家が、事前に設定した価格で模擬的に電力を売買する仕組みを構築する。

» 2019年02月26日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 丸紅は2019年2月、米国のLO3 Energと共同で、日本国内におけるブロックチェーン技術を用いた電力取引に関する実証実験を開始したと発表した。

 電力分野では世界的に脱炭素化、分散化、デジタル化の潮流が急速に進んでいる。その中で、日本においてもポストFIT時代を見据え、再生可能エネルギーなどの分散型電源を保有する需要家(プロシューマー)が発電した電力を、自由に売買する仕組みの構築に注目が集まっている。

 こうした分散型電源から発電された電力とプロシューマーおよび電力消費者との取り引き手法として、近年、ブロックチェーン技術を活用したP2P取引(ネットワークに繋がれた端末同士が中央サーバを通さず通信を行う通信方式)が着目されている。

 そこで丸紅は米国や欧州、豪州でブロックチェーン技術を活用した電力取引プラットフォームの開発実績を多数有するLO3 Energyとの共同実証を決めた。国内外で多数の発電所と顧客基盤を有する丸紅の電力事業におけるノウハウと、LO3 Energyの電力取引プラットフォームに関する知見を生かす狙いだ。

 実証実験では、電力消費者(国内複数箇所の丸紅グループ施設および丸紅新電力の顧客先)と、発電源(丸紅の国内保有発電所)に専用メーターを設置する。このメーターによって、発電源で発電された電力を電力消費者が仮想的な市場を通して模擬的に売買する仕組みを構築する。電力消費者は専用のモバイルアプリを通じて、事前に購入したい電力価格を設定しておく仕組みだ。

 LO3 Energyは今回の実証実験が初のアジア進出となる。同実証実験を通じて知見を獲得し、サービスの世界展開を進めたい考え。丸紅はブロックチェーン技術を活用した事業構築に関する知見を深め、再生可能エネルギーなどの普及や、社会貢献性の高いサービスおよび商品開発を目指すとしている。

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