大阪ガスは同社が保有する実験集合住宅「NEXT21」で、2019年3月から個人間取引の居住者実証試験を行うと発表した。個人間の電力取引におけるブロックチェーン技術の有効性の確認が目的だ。
大阪ガスは、同社が保有する実験集合住宅「NEXT21」で、2019年3月から個人間取引の居住者実証試験を行うと発表した。個人間の電力取引におけるブロックチェーン技術の有効性の確認が目的だ。
現在、太陽光発電の分散型エネルギーシステムが生み出した余剰電力は、電力小売事業者へ販売することとなっている。一方、将来的に再生可能エネルギー発電を中心とした分散型エネルギーシステムを保有した需要家が、発電した電力を自由に売買できるようになる可能性があり、このような売買の管理にブロックチェーン技術が有効であると期待されている。
大阪ガスでは今回、個人間電力取引におけるブロックチェーン技術の有効性を確認するため、NEXT21居住者の実生活環境を使って実証試験を行う。家庭用燃料電池や太陽光発電で発電した電力を、住戸間で融通を実施する。この際、各住戸間で希望価格を設定し、それに基づく取引量をブロックチェーン技術により記録し、精算に用いる。ブロックチェーン技術を利用した証跡管理を行うことで、購入者と販売者とを結びつけた取り引きを実現し、環境性の高い電力を選択した取り引きや販売相手を特定した電力購入など、顧客の選択肢が広がる可能性がある。また、構築したシステムは集合住宅内の顧客だけではなく、戸建住宅や企業も対象とすることが可能だという。
実証では、電力系統の停電時を想定し、VSG機能(マイクログリッド内における複数の分散型発電システムの同時運転を実現する技術)を活用した小型の分散型発電システムを利用することで、電力の供給を継続するマイクログリッドを構築する。停電時においても平常時同様に、需要家間の融通電力の記録を、ブロックチェーン技術を用いて管理可能かどうかも検証する。
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