1万台の蓄電池を秒単位で一括制御、NECと関電が実証に成功エネルギー管理

NECと関西電力らが1万台規模の分散電源を秒単位で一括制御できる技術の実証に成功。電力系統の安定化を図り、再生可能エネルギーの導入拡大に役立つ技術としている。

» 2019年05月31日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 NECでは多数の需要家蓄電池を遠隔からリアルタイムで制御する独自技術(階層協調制御方式・仮想統合制御技術)の研究開発を進めている。この技術は関西電力が構築した需要家蓄電池を活用した周波数制御技術に関する実証試験用システムに採用されており、このほど実施された実証試験で、系統向けサービスへの活用と電力需要家のエネルギーマネジメントの両立を実現したとしている。

 階層協調制御方式は蓄電池個々への出力分配の全体最適化とリアルタイム・同期制御を可能とする制御情報の配信方式。仮想統合制御技術は電池個々の状態や台数、上位システムの要求に基づき、各蓄電池の出力を最適分配する技術だが、今回、実際の需要家蓄電池及び多数の模擬蓄電池(合計1万台規模)に対する遠隔監視・高速制御の実証では、これら技術により、1万台規模の分散電源を秒単位で一括制御できることが確認できた。

 また、電力系統の安定化に寄与する周波数制御と需要家蓄電池本来の利便性(エネルギーマネジメント、BCP対策等)を同時に実現する同時マルチユースの実証では、従来は時間帯ごとにVPP(Virtual Power Plant)サービスとエネルギーマネジメントサービスを分ける必要があったが、需要家用蓄電池本来の利便性を損なわない同時マルチユースの技術的実現可能性を確認したとしている。

マルチユースのイメージ 出典:NEC

 今後、NECは実用化に向け独自技術の高度化を図るため、一括制御技術を通じて、電力系統の安定化を図り、再生可能エネルギーの接続問題の解決・安定的な導入拡大に貢献する。さらに需要家が従来の蓄電池の利便性を損なわずに未利用電力を有効活用できるよう、マルチユースの高度化の実現を目指す。

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