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» 2019年07月16日 07時00分 公開

DELIAが目指すブロックチェーンで創る「分散型エネルギーの経済圏」とは何か――代表・中村氏に聞く和田憲一郎が語るエネルギーの近未来(13)(2/3 ページ)

[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役),スマートジャパン]

和田氏 DELIAが生まれてきた背景は分かりました。次により具体的なDELIAの活動について教えていただけますか。

中村氏 DELIAの活動としては、大きく分けると5つあります。1つ目は人材育成であり、後ほども説明しますが、ビヨンドブロックチェーンであるBBc-1との連携と貢献です。2つ目はブロックチェーンを活用した事例の調査、3つ目は分散型エネルギービジネス拡大モデルの発見と発明、創出です。4つ目は地域での実証・実装で、これは既に福岡市にて自治体からのサポートを受け実行しています。5つ目は、これが最も重要なのですが、分散型エネルギーの経済圏を創ろうと考えています。これについては後ほど説明します。

和田氏 DELIAにはどのような分野の企業が参加されているのでしょうか。

中村氏 Webサイトを見ていただいても分かりますが、正会員として大手電力会社、一括受電会社、IoT機器・エネルギー機器メーカーなど13社(2019年6月現在)が参加しています。それ以外に連携会員として、自治体、調査会社、大学など14の企業・大学など多様な方々が参加しています。さらに、国立大学法人東京工業大学 特命教授 / 科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センター長 柏木孝夫氏にも、DELIAの顧問に就任いただきました。

 活動そのものは、会員企業との会合を2〜3カ月に一度開催しています。さらに、学会、公開セミナーなどを積極的に開催し、対外へのPRおよび会員相互の意見交換を行っています。

電力の移動を証明する「ETP」とは?

和田氏 もう少しETPについて説明していただけませんか。具体的にはどのように行うのでしょうか。

中村氏 ETP(Energy Transfer Proof)は分散型エネルギーの電力移動証明と呼んでいるものです。先程のミトコンドリアの話ではないですが、ETPを生物の仕組みで例えると、生物の細胞内でエネルギーのやりとりには、仲立ちとしてATP(アデノシン三リン酸、Adenosine Triphosphate)が用いられています。ATPはよく教科書で「細胞のエネルギー通貨」、エネルギー貨幣などと呼ばれています。この仕組みにならって、DELIAではETPと名付けました。

より具体的な例を出すと、蓄電池から蓄電池用のパワーコンディショナー(連係インバーター)を介して、あるところにエネルギーを移動させたとしましょう。計測した電力に関する情報を、ブロックチェーン技術によってデジタル署名を行います。こうすることで、例えば電力の移動、周波数、位置情報などを関係者間でセキュアに共有できる、分散台帳が生まれます。これを活用することで、蓄電池の残量に合わせた制御や、協調制御など、分散型エネルギーの高度な同期制御を可能にする情報基盤を構築できるのではないかと。

図表3 ETPの概要

和田氏 DELIAのブロックチェーン技術はどのように開発を進めるのでしょうか。

中村氏 DELIAではアプリケーションの開発として、ビヨンドブロックチェーンである「BBc-1」を活用します。BBc-1(Beyond Blockchain One)はコンピュータサイエンス・ブロックチェーン技術の専門家である慶応義塾大学の斎藤賢爾氏が中心となって開発が進められて、2017年10月にオープンソースとしてリリースしたものです。BBc-1は、従来のブロックチェーン技術がもつ課題を解決し、通貨やその他のフィンテック応用、各種証明機能といった社会信用基盤の自動化・高度化に寄与すべく開発されたオープンソースです。

図表4 BBc-1の概要

なぜBBc-1を選択したかと言えば、電力の移動量などをすばやく記録する必要があり、リアルタイム性が実現できるプライベート型であること。さらには日本のブロックチェーン技術の専門家が開発を進める技術であり、開発者にアプローチしやすいことが挙げられます。

BBc-1が開発された目的には、取引に関しても合意した情報を誰にも改ざんされていない形で保存できることや、改ざんされていない事実を参加者なら誰でも確認できることにあります。また、DELIAが開発を進めるBBc-1を活用したアプリケーション等のコードは、正会員企業に公開しています。会員企業からのフィードバックも含めソースコードの改良を行っています。

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