分散電源向けのエネルギーマネジメント技術を提供している米オートグリッドシステムズが日本法人の設立記念イベントを開催。同社CEOのアミット・ナラヤン氏が日本法人設立の背景や、これからのエネルギー市場の展望について語った。
分散型エネルギー電源(DER)のマネジメントソリューションを手掛ける米オートグリッドシステムズは、2019年7月18日に日本法人「オートグリッドシステムズジャパン」を設立し、都内ホールで設立記念シンポジウムを開催した。登壇したオートグリッドシステムズ創業者兼CEOのアミット・ナラヤン氏は「日本の電力市場はいま大きな変革期にある。この変革をサポートしていくために、日本にオフィスを構えることにした」と新法人設立の動機を語り、日本のエネルギー市場のこれからを展望した。
昨今、分散型エネルギー電源の「フレキシビリティ・マネジメント(柔軟性管理)」に大きな注目が集まりつつある。フレキシビリティ・マネジメントとは、変動する多様な分散型エネルギー源を統合・制御し、電力需給をスマートに調整することで、エネルギーの有効活用を図ろうとするものだ。一般にはまだなじみの薄い概念だが、再生可能エネルギーの導入拡大と電力自由化の流れの中で、新しいエネルギー社会の基幹ソリューションとして関心呼んでいる。
オートグリッドシステムズは、フレキシビリティ・マネジメントに関するソリューションについて、世界12カ国、50社を超える企業との取引実績があり、契約するエネルギーリソースの容量は5000MW(メガワット)以上に達している。「世界の大手エネルギー企業は、当社のソリューションを活用し、クリーンかつ適正価格で信頼できるエネルギー供給を実現した。オートグリッドシステムズのフレキシビリティ・マネジメント・ソリューションは、すべての分散型エネルギー源から得られる大規模かつ柔軟な生産能力をリアルタイムにモニタリングし、予測・最適化・制御することを可能にしている」(ナラヤン氏)という。
日本においては、3年ほど前に三菱商事と契約し、エネルギー貯蔵およびバーチャルパワープラント(VPP)分野における共同プロジェクトを展開している。2018年9月には、マクニカネットワークスと提携し、自社のエネルギーインターネットアプリケーションの国内販売を発表した。さらに2019年6月にはエナリスと提携し、資産規模で世界最大というストレージVPPの確立に向けて動き出した。オートグリッドシステムズは、国内においても既に多くの実績を重ねており、いよいよ満を持して日本法人の設立に至ったというわけだ。
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