太陽光関連企業の経営状況は改善の傾向、帝国データが初の実態調査太陽光

帝国データバンクが国内の太陽光関連事業者に関する経営実態調査の結果を発表。2018年度は、増収となった事業者が約4割となり、減収を上回った。黒字企業の比率も上昇傾向にあり、平均した関連企業の収益性は改善傾向にあるという。

» 2019年12月23日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 帝国データバンクは2019年12月17日、国内の太陽光関連事業者に関する経営実態調査の結果を発表した。2018年度は、増収となった事業者が約4割となり、減収を上回った。黒字企業の比率も上昇傾向にあり、平均した関連企業の収益性は改善傾向にあるという。

 今回の調査は、帝国データバンクの企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社)に収録されている太陽光関連事業者1万7841社(2019年8月末時点)について、「業態別」「売上規模別」「地域別」「業歴別」「売上高増減」「損益」の項目で調査・分析を行っている。

 なお、同社が太陽光関連事業者に関する経営実態調査を行うのは、今回が初。本調査における太陽光関連事業者とは、太陽光発電システム販売や設置工事、太陽光パネル製造やコンサルティングなど関連事業を「主業」として手がけるものと、本業は別にあり、従業として太陽光関連事業を手がけるものの両方を含む。

 太陽光関連事業者1万7841社中、「業態別」のなかの過半以上を占めたのは「太陽光発電システム販売、施工」の1万843社(構成比60.8%)。次いで「メガソーラー運営・売電事業」の5180社(同29.0%)となり、この2業態で全体の89.8%を占めた。この他、「太陽光発電システム・モジュール・部品製造」の831社(同4.7%)、「設計・監理・コンサルタント」の485社(同2.7%)、「管理・保守サービス」の226社(同1.3%)、「製造装置、分析装置等機器類製造」の140社(同0.8%)、「先端技術開発」の15社(同0.1%)と続いている。

 また、太陽光関連事業を「主業」としているのは3265社だった。その内訳を見ると、「太陽光発電システム販売、施工」が2558社(構成比78.3%)と多数を占めている。次いで「メガソーラー運営・売電事業」の311社(同9.5%)、「設計・監理・コンサルタント」の223社(同6.8%)となっている。

 太陽光関連事業を「従業」とする1万4576社においても、「太陽光発電システム販売、施工」が8285社(構成比56.8%)でトップだ。これらの企業の本業としては、電気工事業や木造建築工事業、また電気機器類や機械器具などの卸業者が多いという。

 2位は「メガソーラー運営・売電事業」の4869社(同33.4%)で、こちらは土木建築工事業や貸家・貸事務所業、貨物自動車運送業、ガソリンスタンドなどを本業とする企業が多くを占める。3位は「太陽光発電システム・モジュール・部品製造」の752社(同5.2%)で、金属プレス製品や製缶、板金、電力制御装置製造などを本業としている企業が多かったとしている。

太陽光関連事業者の業態別調査の結果 出典:帝国データバンク

 売上規模別では「1億円以上10億円未満」が7836社(43.9%。主業47.4%、従業の43.1%)が最も多かった。次いで「10億円以上50億円未満」が2006社(16.8%。主業11.1%、従業18.1%)で、「1億円未満」が2965社(16.6%。主業25.4%、従業14.6%)となっている。全体として、太陽光関連事業者は中堅中小企業がメインであることがうかがえる。

 売上高増減では、2016年度は増収が39.1%(主業42.7%、従業の38.4%)、減収が39.4%(主業の41.5%、従業の39.0%)とほぼ拮抗。一方、2017年度は増収が42.4%(主業40.3%、従業42.8%)、減収が32.0%(主業38.8%、従業30.6%)。2018年度は増収が39.7%(主業37.5%、従業40.2%)、減収が29.5%(主業35.0%、従業28.2%)となり、増収した企業数が減収を上回っている。

太陽光関連事業者の売上規模別調査の結果 出典:帝国データバンク

 損益動向については、2016年度は黒字が82.1%(主業75.4%、従業83.5%)、赤字が17.9%(主業24.6%、従業16.5%)。2017年度は黒字が84.1%(主業77.2%、従業85.5%)、赤字が15.9%(主業22.8%、従業14.5%)、2018年度は黒字が85.6%(主業79.3%、従業86.9%)、赤字が14.4%(主業20.7%、従業13.1%)。黒字企業数が赤字企業数を大幅に上回り、黒字企業数の比率も上昇傾向にある。

 なお、帝国データバンクは2019年10月に太陽光関連事業者の倒産状況に関する調査結果を発表している。2014年度以来、5年連続で太陽光関連業者の倒産は増加していたが、2019年度は通年でも6年ぶりの減少に転じる可能性が高い見通しとしている。

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