FIT抜本改革で激変する太陽光発電市場、ソーラーシェアリングの扱いはどうなるのか?ソーラーシェアリング入門(22)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は、政府が進めている「FIT制度の抜本改革」の議論の中で見えてきた、ソーラーシェアリングの取り扱いの方向性について解説します。

» 2019年12月16日 07時00分 公開

 今年もFIT制度見直しと来年度の調達価格を決める議論のタイミングに入り、どんな話題が出てくるのかと事業者が身構えるシーズンになりました。2021年度にはFIT制度の抜本見直しも予定されていることから、2020年度分ではその前哨(ぜんしょう)戦ともいうべき制度変更が行われるのか、むしろ従来FITの最終年次として大きな変更はないのかが噂されてきました。

 太陽光発電に関して言えば、事業用太陽光発電のFIT制度入札対象拡大の範囲が2019年度の500kW(キロワット)以上からどこまで広がるのかを注目する向きが多かったように思いますが、9月に設置された「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」での議論内容が明らかになって風向きが変わりました。今回は、大方の予想を超えてFIT制度の抜本見直し前哨戦の様相を呈してきた、調達価格等算定委員会の議論経過を追いつつ、ソーラーシェアリングの扱いがどのように変わっていこうとしているのかを解説します。

 まず、「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」に上程されたのが、低圧規模の太陽光発電を整理した「小規模事業用太陽光発電」という概念です。小規模事業用太陽光発電は「地域活用電源」という枠で整理され、「自家消費等を優先的に評価する仕組みを前提としつつ、当面は現行のFIT制度の基本的枠組みを維持する」ことが方針として決められました。

小規模事業用太陽光発電に関する委員会資料

 この小規模事業用太陽光発電に関する方向性が出てきたことにより、2020年度はFIT制度を活用しようとすれば自家消費が前提となるため、50kW未満の太陽光発電は全量FITから外されることになり、これまでのような事業モデルは一気に終息していくと捉えられました。さらに、自家消費の比率も住宅用太陽光発電の実績から30%以上という案が事務局から示されましたが、11月29日に開催された第50回調達価格等算定委員会では、委員からの50%以上が妥当ではないかという意見が大勢を占めたようで、より要件がシビアな方に設定されることになりそうです。小規模事業用太陽光発電には立地制約が小さく、需要地近接での設置が容易という定義が示されています。

 では立地のポテンシャルは大きいものの、必ずしも需要地に近接しないソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の場合はどうなるでしょうか?

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