三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)が水素を燃料とするエンジンについて、水素利用率100%で安定燃焼できる条件を見出したと発表。今回の成果を生かし、1MW級水素エンジンの実用化を目指す方針だ。
三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は2020年1月21日、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究において、開発した水素を燃料とするエンジンについて、水素利用率100%で安定燃焼できる条件を見出したと発表した。
MHIETはディーゼルエンジンやガスエンジンを母体とする水素エンジンの開発と実用化に向けた取り組みを進めている。産総研とは2019年度から共同で研究を進めており、今回は改良した単気筒エンジンを、産総研の「福島再生可能エネルギー研究所」(福島県郡山市)に設置し、試験運用を実施した。
水素は、可燃範囲が広く燃焼速度が大きいという特徴がある。そのため、バックファイアやノッキングとよばれる異常燃焼が発生しやすく、燃料として利用する場合にはその対策が課題になるという。
今回の試験では、現在MHIETが販売している希薄燃焼ガスエンジンGSRシリーズを基本とし、水素の燃焼特性に合わせて、燃料供給方法、着火方法、給気弁閉じ時期、空気過剰率などの見直しを行った。その結果、水素専焼・予混合方式での安定燃焼条件を見出すことに成功したという。
試験では6気筒換算で340kW、16気筒換算で920kWまでの試験運転に成功しており、今後はこの結果をベースに、さらに試験データを積み重ねて取得することで多気筒エンジンの開発を進める。その後、2030年代の水素利用の普及拡大を見据え、1MW級水素エンジンの実用化を目指す方針だ。
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