水素でコーヒー豆を焙煎する新装置も、UCCがカーボンニュートラルなコーヒー製造を実現へ自然エネルギー

UCC上島珈琲は2022年3月2日、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にする水素焙煎機や、太陽光・水力などの再生可能エネルギーを活用する「UCC山梨焙煎所」を山梨県笛吹市に新設すると発表した。完成は2024年上期を予定している。

» 2022年03月03日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 UCC上島珈琲は2022年3月2日、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にする水素焙煎機や、太陽光・水力などの再生可能エネルギーを活用する「UCC山梨焙煎所」を山梨県笛吹市に新設すると発表した。総事業費は約143億円、完成は2024年上期を予定している。

 コーヒー焙煎の熱源においては、一般的にLNGなどの化石燃料が使用されている。今回新たに新設するUCC山梨焙煎所では、こうした珈琲焙煎のカーボンニュートラル化を目指すという。

 具体的には、山梨県内にある水力発電などの再生可能エネルギー由来の電力を購入する他、焙煎所屋根などに太陽光パネルを設置して自家消費を行う。こうして使用する電力のカーボンニュートラル化を図る。

 さらに、水素を燃料とした小型・中型焙煎機を開発し、焙煎のプロセスのカーボンニュートラル化も目指す。この焙煎機は2023年の実用化を目指して開発を進める方針だ。なお、新施設では敷地内(オンサイト)で再生可能エネルギーや水素など、複数のエネルギーを供給できるシステムを構築し、最適な運用も目指すという。

「UCC山梨焙煎所」におけるエネルギー利用のイメージ 出典:UCC上島珈琲

 これらの取り組みに加え、生産の効率化なども併せて推進することで、UCC山梨焙煎所では2030年に二酸化炭素排出量51%削減(2019年比)、2040年にカーボンニュートラルなコーヒー製造の達成を目指す。

 なお、UCCグループは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)の助成事業の採択を受け、山梨県企業局、東京電力エナジーパートナー、巴商会、東レと共同で、小規模パッケージ化したP2G(Power to Gas)システムの開発にも取り組む。このシステムを国内の複数地点に整備することにより、電化が困難な産業部門等の脱炭素化を目指としている。

実証事業の内容 出典:NEDO

 具体的には、2021年度から2025年度までの5年間で、「500kWワンパックPEM(固体高分子)形P2Gシステムを開発し、国内の複数地点に導入」、「水素エネルギーの利用拡大を見据え、大容量輸送技術手段の確立に向けた次世代カードル・トレーラーを開発」、「既存インフラと水素エネルギーを最大限活用した脱炭素グランドマスター工場のモデル化」および「コーヒーの焙煎など難易度の高い水素利用の技術を通じて、食品加工分野の脱炭素化を推進」に取り組む。

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