三菱商事系のコンソーシアムが全ての公募海域の事業者に選定され、大きな注目を集めた洋上風力発電の第1回入札。現在、事業者の選定方法に関する見直しが進行中だ。本稿では現在検討されている新たな選定・評価方法の動向について解説する。
入札制度が導入された洋上風力発電において、事業者をどのような基準で評価選定すべきか。資源エネルギー庁の「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」では、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の公募における評価方法の見直しが進められている。
2021年12月のいわゆる第1ラウンドでは、三菱商事エナジーソリューションズ(ES)を中心としたコンソーシアムが、公募対象となった3つの区域「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」、「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子沖」の合計169万kWすべてを、供給価格11.99〜16.49円/kWhで落札するという結果となった。
WGでは評価基準の見直しの方向性として、多様な事業者が公募に参画することによる健全な競争を通じて、広範なサプライチェーンを構築していくことが示されている。
また、足元のロシア・ウクライナ情勢の緊迫化を踏まえたエネルギーセキュリティの確保の観点や、2030年エネルギーミックス実現の観点から、早期の運転開始を重視する方向性が示されている。
「洋上風力促進WG」と国土交通省港湾局「洋上風力促進小委員会」の第12回合同会議では、具体的な評価配点の見直し案が提示された。
洋上風力の公募においては、国民負担の抑制と事業の確実な実施の両立が大原則であることから、従来(第1ラウンド)から供給価格点と事業実現性の配点は1:1(いずれも120点満点)とされてきた。
この大枠は今後(第2ラウンド)も維持することとしており、決して供給価格の重要性がないがしろにされるものではない。
ただし事業実現性の評価については、「事業実施能力」を80点満点、「地域との調整、地域経済等への波及効果」を40点満点とすることは維持しながらも、その内訳としての評価項目や配点は大きく見直すこととしている。
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