三菱商事系が「圧勝」の洋上風力第1ラウンド、今後の入札は評価ルールを変更へ法制度・規制(2/4 ページ)

» 2022年06月03日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「事業実現性」についての評価方法を見直しへ

 「事業実現性」に関する評価のうち、特に「事業の実施能力」については、その項目や配点を図2のように見直すことが事務局から提案されている。

図2.「事業実現性」評価方法の見直し 出所:洋上風力促進WG

 第1ラウンド(図2の左側)では、「事業実施実績」に30点満点という比較的大きな配点がなされていたが、今後(第2ラウンド)ではこれを単独評価することは廃止する。実績の有無は、結局は「事業計画の実現性」に反映されるものであり、「事業実施体制」と密接不可分な評価要素であるため、今後は「事業実施体制」の中で評価することとした。

 また同じく第1ラウンドでは、「リスクの特定・分析、対応策」が独立項目として15点満点が配点されていたが、これも「事業計画の実現性」と密接に関係することから、今後はそれぞれ独立に評価するのではなく、両者を総合して評価を行う。

 また従来の「事業計画の実現性」の内訳要素であった「1.占用区域」「2.スケジュール」「3.実施体制」「4.設備構造」「5.施工計画」「6.工事工程」「7.維持管理・労働安全」「8.撤去」「9.資金・収支計画」は、事業計画の基盤面と実行面に分けて評価することとした。

 なお「10.最先端技術の導入」は、世界初の技術を採用することは発電事業の信頼性に対してマイナスの影響を及ぼし得ることから、今後は評価項目として設定しないこととした。

 また「電力安定供給と将来的な価格低減」の評価項目については、そもそも供給価格が120点満点で評価されることから、将来的な価格低減評価は不要として、電力安定供給のためのサプライチェーンの強靱性等を重点的に評価するため、配点を10点から20点に拡大した。

事業計画の迅速性を評価ポイントに

 第1ラウンド公募における、3海域・全12事業者の洋上風力運転開始予定年の分布は図3の通りである。なお三菱商事エナジーソリューションズの運開時期は2028年9月、12月、2030年12月であることが公表されている。

図3.第1ラウンド3海域・全12事業者の運転開始予定年 出所:洋上風力促進WG

 図2の通り従来、洋上風力の事業スケジュール(運転開始時期等)は、「事業計画の実現性」の一要素として位置付けられていたため、得点面で差異が生じにくい評価方式となっていた。

 このため第2ラウンドでは、エネルギーミックス等の政策目標に資するため「事業計画の迅速性」として、運転開始時期を切り出して20点満点で評価することにより、早期の運転開始に対してインセンティブを与えることとする。

 具体的には、選定日から8年目を基準点として、基準点より運転開始予定日が早ければ5点、基準点より1年以上早ければ10点、2年以上早ければ15点、3年以上早ければ20点とする。

 他方、事業実現性を疎かにする拙速な計画については、低く評価されるべきであることから、「事業計画の実現性(実行面、基盤面)」が一定評価以下の場合には、「事業計画の迅速性」を0点とする。

 そもそも再エネ特措法においては、FIT・FIPの交付期間は運転開始予定日から遅延した分短縮されることから、運転開始時期の遅延に対する抑止効果があるほか、上乗せ対策として、運転開始時期の遅延期間に応じた保証金の没収をペナルティとして設定する。

 第3次保証金は13,000円/kWであることから、例えば50万kWの事業であればペナルティは最大で65億円となる。

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