再エネを「自己託送+蓄電池」でムダなく活用、日立が多拠点対応のエネマネ事業

日立製作所は2022年10月19日、複数の拠点を管理する事業者向けに、再生可能エネルギー発電設備と自己託送制度を利用した電力需給による多拠点エネルギー管理サービス事業を検討すると発表した。

» 2022年10月27日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 日立製作所は2022年10月19日、複数の拠点を管理する事業者向けに、再生可能エネルギー発電設備と自己託送制度を利用した電力需給による多拠点エネルギー管理サービス事業を検討すると発表した。パイロットモデルとして、埼玉県鳩山町にある同社の研究開発グループ鳩山サイトに設置した太陽光発電設備で発電した電力の一部を、東京都国分寺市の同国分寺サイトに送電するシステムを2024年3月から運用開始する。

事業のイメージ 出典:日立製作所

 従来の自己託送システムは、託送電力の計画値と実績値の差分(インバランス)によって発生するペナルティを回避するため、再生可能エネルギーの発電量の計画値を少なく設定し、出力を抑制する制御を行っている。一方、今回の事業では、再生可能エネルギーを最大活用する運用と、発電と需要精度の高い需給計画による運用を目的に、天候の変化により発生し得る発電誤差をAIにより予測し、計画に反映させる技術を活用。さらに自己託送における需給計画を30分ごとに発電側・需要側の双方で補正する。

 また、設備の効率的な運用に向け、出力抑制時の潜在発電量および蓄電池の状態を診断する技術を活用し、リアルタイムでパワーコンディショナーへの指令値にフィードバックすることで、託送効率向上とインバランス抑制のために必要な蓄電池容量削減を両立したシステムを構築。これらの技術により、発電・託送する電力エネルギーと蓄電池とのバランスを最適化したコストメリットの高い運用を行えるという。

 パイロットモデルでは、埼玉県鳩山町の同社研究開発グループ鳩山サイトに設置した太陽光発電設備で発電した電力の一部を、東京都国分寺市の同国分寺サイトに送電するシステムを構築。これにより国分寺サイトで発生するCO2排出量を、2030年度までに2010年度比で実質75%削減する計画だという。

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