2050年に向けて再生可能エネルギーのさらならる導入が進められているが、その時に電力需給のバランス維持に必要な「調整力」の必要量とコストはどの程度なのか――その試算が公開された。
2050年の変動再エネ大量導入に伴い、系統の需給バランスを維持するための調整力も大量に確保することが必要とされる。
広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、広域系統のマスタープランを実現するための、調整力必要量およびその費用が試算された。
再エネ大量導入を支えるインフラとなる、国の広域系統長期方針である「マスタープラン」は2022年度末までに策定・公表が予定されており、2021年5月にはその中間整理が公表された。
マスタープランは複数のシナリオに基づく、幅を持った検討を行うこととしており、「基本シナリオ」のほか、「電源立地変化シナリオ」や「再エネ5〜6割シナリオ」が存在する。
なお広域機関では、連系線増強後の2050年の姿を「2050 With」、連系線増強前のケースを「2050 Without」と呼んでいる。
委員会の第76回会合では「基本シナリオ(2050 Without)」のうち、暫定的に北海道・東北・東京エリアの東3社の分析を行っている。
東3社の2050年電源構成、エリア需要および再エネ出力制御率は表1のとおりである。
表1では、現状と比べて再エネ導入量の増加は前提としつつ、電化の進展を見込み、特に基本シナリオでは電力需要が大きく増加している。
この需要増加の効果として、東北や東京エリアにおいては、基本シナリオでは再エネ5〜6割シナリオと比べて、再エネ出力制御率が大きく減少すると推計されている。
これらのシナリオをもとに、2050年の調整力必要量を推計するにあたっては、以下の前提条件を置いている。
また、マスタープラン基本シナリオ(2050 Without)の各時間帯、各出力帯および出力制御率ごとに、調整力必要量テーブルを作成し、各時間の調整力必要量を推計した。
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