現在の需給調整市場では、参加可能な電源は連系電圧が「高圧以上」との制限はあるものの、燃種(火力、水力など)や種別(発電、蓄電池、DR)の区別は設けられていない。また、商品ごとに最低入札量が定められているが、アグリゲーションによる参加を認めているため、実質的には個々の設備容量に制限はないと言える。
需給調整市場の商品要件では、それぞれの商品(調整力)が満たすべき応動時間・継続時間、指令方法などが、表3のように定められている。
需給調整市場では、リクワイアメントやペナルティを理解したうえで、市場参加を希望する電源すべてを対象としているのに対して、グリッドコードでは、事業者への負担も考慮して、必要最小限の電源を調整力具備の対象としているという違いがある。
また、需給調整市場では市場参加を希望する電源が満たすべき要件を詳細に定めているのに対して、グリッドコードでは最低限の要件のみを定めている。
こうしたなか、蓄電池や揚水発電に対してグリッドコード(火力発電)以上の調整機能を求めることは、電源間の公平性という観点で合理的ではないため、長期脱炭素電源オークションにおける揚水発電・蓄電池に求める要件として、まずはグリッドコード(火力発電)を参照することが適当と考えられる。また、火力グリッドコードのうち、より高性能な要件を課している「GTまたはGTCC」(ガスタービン・コンバインドサイクル)の要件を参照する。
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