熱交換器メーカーのティラドが、兵庫県新温泉町の温泉旅館で熱電発電を利用した温泉発電システムの実証実験を開始。熱電素子を活用した発電方式により、年間1.1万トンのCO2排出量を削減できるという。
熱交換器メーカーのティラドは、2023年4月1日にオープンした兵庫県新温泉町の温泉旅館「湯村温泉 緑屋」において、熱電発電を利用した温泉発電システムの実証実験を開始したと発表した。
熱電発電とは、熱電素子に温度差を与え、熱エネルギーを電力に変換するゼーペック効果を用いた発電方式のこと。熱電モジュールの両面に温度差を与え、熱エネルギーを直接電力として取り出す。
ティラドが開発した熱電発電システムは、熱電モジュールを200枚使用し、夏場の90度の温泉と、25度の冷却水の温度差65度利用し、約100Wの発電が可能だという。実証試験では、この温泉発電器1台を使用し、発電した電力は12Vの蓄電池に充電する。この電力はAC100Vインバーターによりディスプレイなどの電力機器に使用する。
ティラドの試算によると、湯村温泉の総湯量(2300l/分)を仮に全量90℃としたとき、ティラド温泉発電器を複数連結したシステムによる発電出力は90kWとなり、CO2換算で年間1.1万トンの削減が可能だという。また、小出力の場合でも無騒音で24時間発電可能なことから、バッテリーなどへの蓄電により、非常用電源の確保にも活用できるとしている。
今後同社では、温泉発電実用化を目指し、熱電発電に適する温泉地の探索や、システムの発電実証試験を進めていく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.