家庭用蓄電池で電力調達コストを削減、オムロンが小売事業者向けサービス

オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は、主に小売電気事業者に向け、電力の調達コストの課題解決をサポートする電力調達コスト低減ソリューション「POWER JUGGLING」を2023年9月より提供開始すると発表した。

» 2023年08月31日 16時27分 公開
[スマートジャパン]

 オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は2023年9月から、主に小売電気事業者に向け、電力の調達コストの課題解決をサポートする電力調達コスト低減ソリューション「POWER JUGGLING」の提供を開始する。

 2016年の電力全面自由化を受け、多様な企業が電力の小売り事業に新たに参入しており、国内で唯一の卸電力取引市場である日本卸電力取引所(JEPX)を通じて、提供する電力を調達しており、その取引量は年々増加している。

 一方で、昨今の原油・LNGなどの原材料高騰や再エネの普及により、JEPXの変動幅が大きくなり、電力調達価格が大幅に高騰するなどの課題が顕在化しつつある。また、経済産業省が定めるインバランス制度の変更により、2024年以降、電力の過不足を調整するため単価が上がるなどといったコスト課題も想定される。このような電力調達コスト課題を解決する方法として、蓄電池による市場への電力供給の調整力として、その価値に注目が集まっている。

 今回、OSSではこのような電力調達時の課題解決をサポートする電力調達コスト低減ソリューション「POWER JUGGLING」をサービス開始する。本サービスは,インターネットに接続されているOSS製の家庭用蓄電システムを束ねて制御し、小売電気事業者向けの調整力として活用できるもので、電力契約者の施設に設置した蓄電システムに対し、小売電気事業者からの制御指示に基づき、OSSがインターネットを介して充放電制御を実施する。

サービスのイメージ 出典:オムロン

 例えば、JEPXの価格が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電することにより、電力調達コストを低減するとともに、電力契約者へのインセンティブを創出することが可能で、電力契約者は蓄電池設置によるレジリエンス対応とインセンティブの両方を享受することができる。

 また、導入時の追加機器が不要なため、初期コストを抑え、最短の準備期間で運用開始ができ、蓄電池の新設・既設を問わないため、幅広い導入が可能である。

 OSSは本サービスを2023年9月1日より提供開始し、各小売電気事業者との協業を広げることにより、3年間で累計1万台の蓄電池制御による調整力提供を目指す。家庭用蓄電システムの調整力としての価値を高め、さらなる再エネの普及に貢献していく。

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