「持続可能な航空燃料(SAF)」の導入が義務化へ――新たな税制支援策も第5回「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」(2/4 ページ)

» 2024年07月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

SAFの利用・供給拡大に向けた「規制」の状況

 電気やガス、自動車用燃料など様々なエネルギー供給事業者に対して、非化石エネルギー源の利用等を促進するため、「エネルギー供給構造高度化法」では、国が定める目標値を達成することを義務付けている。

 SAFについてもその利用・供給拡大に向けた「規制」的措置として、エネルギー供給構造高度化法(以下、高度化法)の告示において、2030年のSAFの供給目標量を設定することとした。供給目標量は国全体(制度対象事業者全体)の数値から、事業者個社への目標量が配分される。

図4.エネルギー供給構造高度化法 バイオエタノールの例 出典:SAF官民協議会

高度化法におけるSAFの定義

 SAFの原料や製法には、廃食油などの生物資源(バイオマス)に由来するものや、水素とCO2の合成燃料(e-SAF)など様々なタイプが存在する。

図5.SAFの原料・技術の類型等 出典:SAF官民協議会

 SAFは、国際的な標準化団体であるASTM Internationalが、原料と製造方法の組合せを用いた品質規格「ASTM D7566」を策定しており、すでにICAOや米国インフレ抑制法においてSAFの定義として使用されている。このため、高度化法においてもSAFの品質規格や対象製法は、ASTM D7566に準拠するものとする。

 なお、ICAOの「国際民間航空のためのカーボンオフセット及び削減スキーム(CORSIA)」では、同スキームに適格な航空用燃料は、石油由来ジェット燃料比でGHG排出量(炭素強度)を10%以上削減することが求められているほか、米国やEUの制度ではGHG排出量の削減基準が50%以上とされている。

表1.各国等のSAFのGHG排出量の削減基準 出典:SAF官民協議会

 しかしながら、日本ではSAF原料の多くを海外からの輸入に依存することが想定され、GHG削減率の高い原料を安定的に調達できない可能性等を考慮し、高度化法では、GHG削減基準(炭素強度の削減率)は定めないこととした。ただし、対象事業者に対しては「努力規定」として、SAFの炭素強度50%削減を目指すことを求める。

 また、CORSIA適格燃料(CORSIA Eligible Fuel:CEF)は、ICAOが承認した持続可能性基準スキーム(SCS, Sustainability Certification Schemes)による認証取得が必要であるが、高度化法ではSCSに限定することなく、国があらかじめ認めた第三者認証の取得を求めることとする。

表2.CORSIA持続可能性基準(各テーマの基準の記載は省略) 出典:SAF官民協議会

 国土交通省では、国産SAFをCORSIA適格燃料として登録・認証取得を円滑化するため、SAF認証タスクグループにおいて、「CORSIA適格燃料 登録・認証取得ガイド」を作成・公表しており、規格外ココナッツが新規原料として登録されたところである。

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