2040年に11.5兆円規模に――電力貯蔵・定置用蓄電システム向け二次電池市場蓄電・発電機器

調査会社の富士経済は2024年8月23日、エネルギー貯蔵システム(ESS)および定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場を調査した。2040年の市場規模は、2023年比で3.4倍の11兆5224億円に拡大すると予測している。

» 2024年08月27日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 調査会社の富士経済は2024年8月23日、エネルギー貯蔵システム(ESS)および定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場を調査した。2040年の市場規模は、2023年比で3.4倍の11兆5224億円に拡大すると予測している。

ESS・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場予測 出典:富士経済

 エネルギー価格の上昇や電力需給のひっ迫などに加え、導入補助政策の整備によって、電力の自家消費や需給調整力電源としてESS・定置用蓄電システムの需要が高まっており、市場は拡大傾向にある。

 中期的には、カーボンニュートラル実現に向け温室効果ガスの排出量を削減するため、各種電力取引市場で蓄電システムの活用が本格化するとみられる。長期的には、EVの普及に伴い、EVで使用した電池をESSへリユースする動きが予想されるほか、電池の低価格化などで普及が進むとみられる。特に、再生可能エネルギーの急増と出力抑制を背景に、電力系統の需給バランスを改善する系統・再エネ併設分野は大きく伸び、2040年に向けて市場拡大に貢献する見通しとしている。

 具体的な市場規模として、2040年の業務/産業分野の市場規模は2023年比5.4倍の5713億円、系統・再エネ併設分野は同4.4倍の8兆6009億円を予測している。なお、2024年の市場規模はそれぞれ1267億円、2兆2966億円とした。

 なお、住宅分野向けでは電気料金の上昇や自家消費の増加、メーカー側からの販促活動の本格的な再開、手厚い補助政策などを背景に導入が増加。今後、米国や日本での太陽光発電システムの設置義務化とともに蓄電システムの導入が増えるとみられる。エネルギーリソースとしての蓄電システム活用や販売形態の多様化も期待されることから、2040年の市場は2023年比2.4倍の1兆2733億円と予測した。

 エリア別では、中国と北米合わせて2024年の市場の50%以上を占める(金額・容量)。一方、日本は、全体の4%程度にとどまる(金額・容量)。今後も中国と北米が市場拡大をけん引するとみられるほか、欧州が大きく伸長すると予想される。日本も堅調な需要増加が期待されるとしている。

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