IHIが太陽光発電の余剰電力を直流のまま活用できるシステムを開発。余剰電力で蒸気を作り、熱として無駄なく活用できるという。
IHIは2024年9月20日、太陽光発電所で発生する余剰の直流電力を熱利用できるシステム(再エネ熱利用システム)を開発し、実証運転を通じて安定的な運用が可能であることを検証したと発表した。安価な投資で余剰電力を無駄なく活用できるシステムだという。
同社が開発した再エネ熱利用システムは、太陽光発電で発電した直流電力を、低コストな蓄熱式ボイラで蒸気に変換し蓄熱する仕組み。パワーコンディショナーの定格出力以上に発電した直流電力も無駄にせず利用できる。蓄熱した熱は、必要とする需要家に供給する想定だ。
IHIではこのシステムを2024年4月から相馬市の協力のもと、相馬市下水処理場に導入して実証運用を続けてきた。相馬市下水処理場では年間で最大240kWの交流電力を使用しており、これに対して300kWの自家消費型の太陽光発電設備と、200kWのパワーコンディショナーを設置し、最大200kWの交流電力の供給を可能としている。
ここにグループ会社であるIHI検査計測が製造・販売する蓄熱式電気ボイラ「蒸気源」を7台設置し、最大189kW(1台当たり27kW)の直流電力を吸収できるシステムを構成した。
運用の結果、発電した電力を全てを有効利用しつつ、安定的に稼働できることを確認したという。具体的には6月の電力利用実績は交流電力で2万3160kWh、直流電力で1万1860kWhだった。日によっては一般的なシステムで利用可能な定格200kWを超え、最大で250kWの電力を利用できている時間帯もあったという。
IHIでは今後、自家消費型の太陽光発電の需要拡大を見越し、この再エネ熱利用システムで余剰電力の課題を解決し再生可能エネルギーの普及拡大への貢献を目指す方針だ。
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