FIT/FIP制度においては、調達期間/交付期間にわたり調達価格/基準価格を固定することにより、再エネ発電事業への投資に対する予見可能性を確保している。他方、物価変動等により、費用が大きく上昇した場合でも売電単価は原則変わらないため、投資額が大きく総事業期間の長い洋上風力発電では、これが大きなリスクとなる。
こうした課題に対応するため諸外国では、基準価格等を物価変動等と連動させる「価格調整スキーム」が導入されており「1.物価変動に伴い年次調整する方式」や「2.落札後一度のみ調整を行う方式」が採用されている。
再エネ海域利用法に基づく公募において、応札者(公募参加者)は見積により公募占用計画に記載する供給価格(応札価格)を決定する必要があるが、見積時点(公募参加時点)では、洋上風力発電設備の調達・施工に要する費用はまだ確定していない。
一般的には、運転開始の2〜3年程度前に洋上工事を開始するが、その前に主な設備等の調達・施工に必要な契約を締結し、その時点で調達・施工に要する費用が概ね確定することとなる。
よって価格調整は、応札(見積)時点から、公募落札者による設備等発注時点までの物価変動に対応するものとして、「2.落札後1度のみ調整を行う方式(1回調整方式)」を採用することとした。
具体的には、基準価格に連動させる物価変動率(調整変動率)の算定に必要な変動前物価指数と変動後物価指数は、以下の期間における物価指数の加重平均を用いて設定する。
なお、価格調整は、インフレによる上昇局面だけでなく、デフレによる下落局面にも適用されるものである。
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