世界的にサーキュラーエコノミーへの移行が加速しており、世界市場において再生材利用義務などが参画要件となり、対応が遅れれば成長機会を逃す可能性がある。
日本の高度な資源循環技術を生かして、国内に強固なサプライチェーンを確立することは、持続的な経済成長を実現する大きな機会となるだけでなく、資源を安定的に 確保することにより、経済安全保障にも貢献するものである。
このため、設計・製造段階では、再生材利用に関する計画策定や定期報告を法的に義務づけ、企業の取り組みを明確化し、PDCAサイクルを構築することで、循環資源の需要創出を促進する。また、資源・部品レベルの再利用や製品の長寿命化に資する特に優れた環境配慮設計をトップランナーとして法的に認定することで、資源循環に配慮した製品の可視化・価値化を図り、革新的なものづくりを加速させる。
GXを推進する上では、「公正な移行」の観点から、新たに生まれる産業への労働移動を適切に進めていくとともに、GX産業構造への転換に伴い高度化されたサプライチェーンで労働者が引き続き活躍できるよう、必要な取り組みを進めることが重要となる。
GXの推進に伴う産業構造転換の中で生まれる新たな労働需給に対応すべく、関係省庁が連携し、成長分野等への労働移動の円滑化支援、在職者のキャリアアップのための転職支援やリスキリング支援、ロボティクスやAIなどのDXを活用したサプライチェーンの高度化に対応するための新たなスキルの獲得支援などを進め、その過程で生じる様々な課題をきめ細かく把握し、丁寧に対応する。
このほか、GX2040ビジョン(案)では、GX政策の実行状況の進捗と見直しについて説明しているが、エネルギー基本計画で記されたような「双方向的なコミュニケーションの充実」に相当する記述は見当たらない。
GXとは経済社会構造全体の変革であり、GX2040ビジョンがGX投資の予見可能性を高めるために作成されたものであるならば、その投資を支持する幅広いステークホルダー・変革の主体に向けたコミュニケーションの在り方についても示すことを、筆者としては期待したい。
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太陽光発電の最新コスト動向 新規導入の低迷を受け「初期投資支援」の検討もCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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