2026年度から本格的にスタートする排出量取引制度。第5回「GX実現カーボンプライシング専門WG」では、同制度全体に関する論点が取りまとめられた。本稿ではその概要を紹介する。
国は、規制・支援一体型の「成長志向型カーボンプライシング構想」により、今後10年間で150兆円超の官民GX投資の実現を目指している。
GX推進戦略では、カーボンプライシングの一つとして、2026年度から排出量取引制度を本格稼働させることとしており、「GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループ」(WG)の第5回会合では、制度全体の論点が取りまとめられた。
排出量取引制度の第2フェーズ(2026年度〜)の全体像としては、
であり、今後、GX推進法の改正により、本制度を開始予定としている。
EU-ETSでは「直接排出25,000tCO2e /年以上の設備」、韓国K-ETSでは「直接・間接排出125,000tCO2e/年以上の事業者」など、諸外国の排出量取引制度(ETS)でもその対象や規模(裾切基準)はさまざまである。
日本では、省エネ法や温対法(算定報告公表制度:SHK制度)、GX-ETS(第1フェーズ)において法人単位での取り組みを求めているほか、検証等の事務手続きや行政コストを抑制する観点から、2026年度より開始するETS(以降、第2フェーズと呼ぶ)では、「CO2の直接排出量が10万トン以上(直近3カ年平均)の法人」を対象とすることとした。
これにより、ETSの対象事業者数は300〜400社程度、カバー率は日本全体のGHG排出量の60%近くと見込まれ、諸外国のETSに遜色のないレベルとなる。
また、企業によってはグループ単位で排出量の管理や脱炭素に必要となる投資判断を行っている実態を踏まえ、親会社等が密接な関係にある子会社等も含めて報告等の制度対応を行うことを可能とするため、「認定管理統括事業者制度(仮称)」を創設する。
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