ETS第2フェーズの排出枠割当量の算定方法としては、特に業種特性を考慮する必要性の高いエネルギー多消費分野では業種別のベンチマークに基づいた算定を行い、ベンチマークの策定が困難な分野については、グランドファザリングによる割当とする。
グランドファザリング(GF)方式の場合、早期に(過去に)削減努力を行った企業ほど、短期的にはさらなる削減が困難という課題があるため、何らかの考慮を行う必要がある。
そこで、GFによる割当対象の排出源について、起点となる過去の年度から基準年度までにGF基準相当以上に削減した量については、制度開始前の削減努力として認め、割当量を追加することとした。
また、世界全体での排出削減を実現する観点からは、カーボンリーケージ(産業の国外移転等)の回避は重要な課題である。よって、ETS第2フェーズでは、リーケージリスクを抑制するための措置として、
以上の2つの条件を満たす場合、排出枠不足分のうちの一定割合を、翌年度の割当量に追加することとした。
また、”Hard to abate”産業における抜本的な削減技術を開発・実装するためには、中長期的な研究開発や大規模な設備投資が必要となる。そこで、中長期的な投資のための原資が失われることのないよう、一定水準以上の研究開発投資を行う事業者に対しては、事業者からの申請に基づき、排出枠の不足の一部(10〜20%程度)を追加で割り当てることとした。
ETS制度の導入が、GX実現に向けて必要な新規事業への参入・事業拡大を阻害することや、事業活動を縮小させることがないよう、事業場の新設・廃止・活動量の変動等が生じた際に、割当量の調整を行う。
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