2026年度から始まる「排出量取引制度」 制度全体の論点と今後の展望第5回「GX実現カーボンプライシング専門WG」(2/6 ページ)

» 2025年01月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

排出量の算定に関するルールの概要

 排出量取引制度(ETS)第2フェーズでは、制度対象事業者は、毎年度、自らのCO2の直接排出量を算定し、これと等量の排出枠の償却を行うことが義務づけられる。

 排出量の算定ルールは、省エネ法や温対法SHK制度を基礎として、制度対象事業者の事務負担軽減の観点から、省エネ法・温対法SHK制度のエネルギー使用量や排出量等の定期報告に係るシステムとの連携を実施する。

図3.排出量算定の考え方 出典:GX実現に向けたCP専門WG

 ETS第2フェーズの対象は直接排出であり、外部から購入する電気・熱の使用に伴う排出量(間接排出)は対象とならないため、企業の「電化」の後押しになると考えられる。

 現行のSHK制度において、すでにCCSについては、回収量を控除した量を排出量として報告すると整理されており、合成メタン等のカーボンリサイクル燃料の使用(CCU)については、2025年度報告(2024年度実績)から適用することを目指して法令整備が進められているが、ETSでの扱いについては今後の検討課題としている。

 また、ETS制度外のカーボンクレジットとしては、NDC(国が決定する貢献)へのカウントを前提として、政府が運営するJ-クレジットとJCM(二国間クレジット制度)クレジットの活用を認める。これにより、ETS制度対象外となる国内中小企業等や途上国における排出削減を促すこととする。

 J-クレジットやJCMでは、DACCS(大気中CO2直接回収貯留)等の炭素除去技術を用いた新たな方法論の策定を進め、対象とするプロジェクトの範囲を拡大する予定としている。クレジットの使用可能量に一定の制限を設けるかについては、今後の検討課題である。

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