バイオマス発電は発電コストの多くを燃料費が占めることが特徴の一つであり、今後も燃料費が大きく低減することは想定しにくい状況にある。また、木質ペレットや液体バイオマス燃料は国際的に取引される商品であるため、国際的な需給バランスや為替変動の影響を強く受けやすい事業である。
バイオマス発電は既に十分なFIT認定量が存在している(図1)と同時に、近年では大規模な案件は組成されていない(表1、表2)。また諸外国では、大規模なバイオマス発電をFIT/FIP等の支援対象としていない例も複数ある。
これらの状況を踏まえ、資源エネルギー庁では、一般木質等(10,000kW以上)及び液体燃料(全規模)の新規案件は、2026年度以降、FIT/FIP制度の支援の対象外とすることとした。これは輸入燃料に限らず、国産燃料であっても同様である。
今後、新規の大型バイオマス発電は、容量市場や需給調整市場を活用し(※FIP電源は現在も需給調整市場に参加可能)、FIT/FIP制度によらずに収益を上げることが期待される。2024年度容量市場メインオークション(実需給年度:2028年度)では、合計13.2万kWの非FIT/FIP専焼バイオマス発電が約定している。
また将来的には、コージェネレーションによる売熱収入の獲得や、BECCS(バイオマス発電によるCO2を回収・地下貯留)によるネガティブエミッション価値の販売収入が期待される。
FIP制度開始以降、再エネ電源の早期の電力市場統合を促す観点から、FIP制度のみの適用を認める対象区分が段階的に拡大されてきた。現在バイオマス発電については、50〜1,000kW未満はFITかFIPを選択可能であり、1,000kW以上はFIPのみが適用可能である(ただし、バイオマス液体燃料は全規模FIPのみ)。
現在、日本卸電力取引所JEPXの最小取引単位は50kWh/コマ(30分)であり、ごみ処理焼却施設に併設されている設備を除くバイオマス発電全体では、その多くが安定的に50kWh/コマを発電していることが確認された。なお、FIP電源はJEPXでの売電だけでなく、相対取引による売電も可能である。
ただし、メタン発酵バイオガスプラントのガスホルダーの容量は1〜2時間程度分であることが多く、FIPに対応した設備を備えた事業計画の作成には一定の時間を要することを考慮し、FIP制度のみ認められるバイオマス発電の対象として2026年度は「1,000kW以上」を維持し、2027年度の新規認定分から「50kW以上」へと拡大することとした。
ごみ処理焼却施設など、燃料の受入等を事業者がコントロールすることが困難な事業については、これまでどおり「2,000kW以上」をFIP制度のみを認める対象とする。
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