1万kW以上の木質と液体燃料によるバイオマス発電 26年度からFIT/FIPの支援対象外に第101回「調達価格等算定委員会」(1/3 ページ)

資源エネルギー庁はバイオマス発電のうち、「一般木質等(10,000kW以上)」及び「液体燃料(全規模)」の新規案件について、2026年度以降FIT/FIP制度の支援対象外とする方針を固めた。

» 2025年02月19日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 バイオマス発電は、天候に左右されず安定的に発電可能な再エネ電源の一つとして、導入が推進されてきた。2023年度の発電電力量は401億kWhであり、電源構成の約4.1%を占めている。

 バイオマス発電のFIT制度開始前の導入量と2024年3月時点のFIT/FIP認定量を合わせた設備容量は1,070万kWであり、第6次エネルギー基本計画の2030年度エネルギーミックスの水準800万kWを達成すると見込まれている。また、第7次エネルギー基本計画案では、2040年度発電電力量1.1〜1.2兆kWhの見通しのうち、バイオマスは5〜6%程度を賄うことが想定されている。

図1.バイオマス発電のFIT/FIP認定量・導入量 出典:調達価格等算定委員会

 ただし、バイオマス発電は将来的な発電コストの低減に課題を抱えている。このため「調達価格等算定委員会」の第101回会合では、バイオマス発電のうち、「一般木質等(10,000kW以上)」及び「液体燃料(全規模)」の新規案件は、2026年度以降、FIT/FIP制度の支援対象外とする見直しが行われた。

バイオマス発電の入札制の現状と経緯

 バイオマス発電はその燃料種類や設備容量規模の違いにより、FIT調達価格/FIP基準価格に複数の区分が設けられており、10,000kW以上の「一般木質等バイオマス」及び全規模の「バイオマス液体燃料」は、2018年度より入札制に移行した(※公的資料では、「一般木質」と「一般木材」の両方の用語が使われているが、本稿では前者を使用する)。

 「一般木質バイオマス・農産物の収穫に伴って生じるバイオマス固体燃料」は、製材端材や輸入材、剪定枝などの木質のほか、農作物残渣であるPKS(パーム椰子殻)等を燃料とするものであり、「農産物の収穫に伴って生じるバイオマス液体燃料」は主に、パーム油やカシューナッツ殻油を燃料としている。

 入札対象となっている「一般木質等(1万kW以上)」と「液体燃料」のこれまでの認定量合計は130件・約630万kWである(表1)。バイオマス発電全体でのFIT/FIP累計認定量が1,084件・約842万kWであるので、両者は件数では12%を占め、容量では約75%と最大比率を占めている。

表1.一般木質等(1万kW以上)、液体燃料の認定量 出典:調達価格等算定委員会を基に筆者作成

 入札制移行後の一般木質等(1万kW以上)及び液体燃料の入札結果は表2のとおりであり、2022年度以降、3年連続で応札件数がゼロである。なお、表2の第4回入札(2021年度)で落札した51MW(バイオマス比率考慮後)の一般木質等案件(表1の2021年度1件・74,950kW)は、その後、事業環境の悪化を理由として、FIT認定を自主的に廃止したため、実質的に2018年度以降、一般木質等(1万kW以上)では新規の案件組成が無い状態が続いている。

表2.バイオマス発電の入札結果(バイオマス比率考慮後容量) 出典:調達価格等算定委員会

 資源エネルギー庁がバイオマス発電事業者協会等にヒアリングを行ったところ、インフレや円安、再エネ出力抑制の増加等の影響により、既認定案件であっても一部では稼働が危ぶまれる状況であり、今後の新規認定が大きく進むとは考えにくいことが報告された。

 ただし、2024年1月に実施された2023年度「長期脱炭素電源オークション」(2024年4月開札)では、2件の大規模バイオマス発電(100,000kWと99,258kW)が落札しており、事業スキーム次第では、新規案件の開発余地があるとも考えられる。

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