系統用蓄電池の早期連系に向け追加対策 2025年4月に開始へ第2回「次世代電力系統WG」(1/4 ページ)

昨今、接続の要望が急増している系統用蓄電池。資源エネルギー庁ではこうした背景を受け、蓄電池の早期連系に向けた追加的な暫定対策を導入する。

» 2025年03月20日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 系統用蓄電池は、脱炭素型の調整力を供出可能なリソースであり、急速な導入拡大が想定されている。2024年12月末時点において連系済み系統用蓄電池はまだ約17万kWであるが、接続検討は約9,500万kW、接続契約済みは約800万kWと、その受付量が急増している。これらの全てが実際の系統接続に至るわけではないが、例えば東北エリアでは、総需要800万〜1,300万kW程度に対して、その3倍程度の蓄電池が接続検討段階にあると言える。

図1.系統用蓄電池の接続検討等の受付状況 出典:次世代電力系統WG

 蓄電池は、充電(順潮流)と放電/発電(逆潮流)の両方の潮流を生じさせることが特徴であり、発電(逆潮流)側についてはノンファーム型接続の適用により、速やかに系統接続が可能である。他方、蓄電池の充電については、通常の需要設備と同様に取り扱われるため、順潮流側が重潮流となる断面においても電力供給に支障を来さないよう供給検討が行われ、必要に応じて系統増強工事が行われる。系統増強には長い年数が必要であるため、蓄電池が速やかに系統接続できないという問題が生じている。

 これまでも、単一系統事故時のN-1充電停止装置の導入による運用容量の増加といった早期連系対策が取られてきたものの、蓄電池の接続検討の急増により、順潮流側の運用容量を超えるケースが増加している。

 このため「次世代電力系統ワーキンググループ」では、蓄電池の早期連系に向けて、特定の時間帯の充電制限に同意することを条件として、系統増強することなく速やかな系統接続を可能とする追加的な暫定対策を導入することとした。

早期連系追加対策の適用系統と電源

 系統用蓄電池の早期連系追加対策の適用系統は、図2のように「基幹系統」及び「ローカル系統(配電用変圧器を除く)」として、適用電源及び制御対象としては、系統充電する再エネ併設蓄電池を含む系統用蓄電池とする。ただし、制御対象が膨大となり管理面で問題が生じるおそれがあるため、当面は低圧蓄電池を対象外として、今後必要に応じて拡大を検討する。

図2.系統用蓄電池早期連系追加対策の適用系統・電源 出典:次世代電力系統WG

 なお、早期連系追加対策を適用した系統用蓄電池は、将来的に系統用蓄電池の順潮流側の接続ルール等が変更された場合、そのルールに従うことが求められる。

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