早期連系追加対策における充電制限の条件は、当該系統に太陽光発電等の有無や一般需要の状況により異なるため、点灯ピーク時間帯のみで充電制限が課せられる系統もあれば、一日のほとんどの時間で充電制限が課せられる系統もあると考えられる。
調整力・供給力という蓄電池本来の機能を活用するためには、早期連系追加対策であっても、充電制限時間が過度なものとならないように充電制限時間に上限を設定することが望ましい。例えば容量市場の発動指令電源では、3時間の継続運転がリクワイアメントとされており、十分な充電機会を確保することが重要となる。
ただし、系統ごとに細かく充電制限の上限を設定することは困難であるため、充電制限時間の上限は、全国一律に「12時間」を目安とする。これにより、早期連系追加対策を適用した蓄電池は、容量市場等への参入は制度的に妨げられることはなく、逆に、充電制限を理由に各種市場・制度のリクワイアメントが達成できなかった場合でも免責の対象とはならない、と整理された。
よって、充電制限時間の上限「12時間」を超えることが見込まれる系統には、早期連系追加対策は適用されないこととなる。早期連系追加対策の適用後に、系統状況の変化によって充電制限時間が上限を超過する場合は、系統増強を行うことで対処する。
蓄電池事業者にとっては、接続を検討している系統でどの程度の充電制限が生じるかが重要な投資判断材料となる。このため一般送配電事業者は、あらかじめ接続検討回答等の際に、系統情報(月別の1時間ごとの最大潮流値と運用容量値)を提供する。
想定潮流データをもとに、蓄電池事業者自らが充電制限に関する試算を行い、接続契約を申し込むこととなる。一送は運用申合書締結(給電申合書締結)までに、蓄電池事業者に対して具体的な充電制限の条件を提示する。早期連系追加対策を希望する蓄電池設置事業者に対して一送が提供予定の系統情報は、図7のようなイメージである。
一般需要の増加等により潮流が変化し、充電制限の条件の見直しが必要となる場合もある。ただし、充電制限の時間や量が頻繁に変更されると、蓄電池運用に対する予見性が失われるため、充電制限の条件の変更・更新は年1回を基本とする。
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