脱炭素電源への投資促進を目的にスタートした「長期脱炭素電源オークション」。このほど、その第2回オークション(2024年度応札)の結果が公表された。
電源投資回収の長期的な予見可能性を高め、脱炭素電源への新規投資を促進することを目的に、容量市場の一つとして「長期脱炭素電源オークション」が2023年度に導入された。同オークションで落札した電源は、マルチプライス方式で決まった容量収入を原則20年間得ると同時に、他市場から得た収益の約9割を還付する仕組みとしている。
電力広域的運営推進機関は、本制度開始後2回目となるオークション(2024年度応札)を2025年1月に実施し、その約定結果が4月28日に公表された。
長期脱炭素電源オークションが対象とする電源は、あらゆる脱炭素電源の新設・リプレースおよび既設火力の脱炭素化への改修における新規投資である。ただし、オークション開催時点では応札が想定されない電源や入札上限価格を設定することが困難な電源等は、入札の対象から除外されており、2024年度の入札対象は表1の通りである。
2023年度第1回入札と比べ2024年度第2回入札では、主に以下の点が変更されている。
なお、別記事「長期脱炭素電源オークションの応札促進へ 第3回入札から大幅な制度変更」の通り、2025年度開催の第3回オークションから、「CCS(CO2回収貯留)付火力」や「長期エネルギー貯蔵システム」を入札対象に追加することが決まっている。
また、短期的な電力需給逼迫防止の観点から、2023〜2025年度の3年間は、LNG専焼火力の新設・リプレースも入札対象としている。LNG専焼火力であっても、制度趣旨に則り、供給力提供開始から10年以内に脱炭素化に向けた対応を開始し、2050年までに脱炭素化を完了することが応札条件とされている。
第2回オークションにおける脱炭素電源の募集量は、図2のように500万kW(第1回は400万kW)である。当初、LNG専焼火力は脱炭素電源とは別に、2023〜2025年の3年間で600万kWの募集量を設定していたが、今後の電力需要増加の見通しを踏まえ、2024年度・2025年度のオークションで200万kWずつ追加募集することとしている。
なお、落札電源の総容量が脱炭素電源の募集量に達せず、募集枠に残りがある場合、募集上限を超えて落札処理が行われる。ただし「蓄電池・揚水」は、放電・発電のためには蓄電・ポンプアップが必要であり、供給力としての価値が限定的であるため、落札量は最大でもそれぞれの募集上限の2倍までとしている。
オークションで落札した電源が容量収入を得られる期間(制度適用期間)は原則20年間であるが、事業者は20年よりも長期の適用期間(1年単位)を希望することも可能である。
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