第2回長期脱炭素電源オークション(応札年度:2024年度)は、蓄電池等による旺盛な応札により、応札容量は合計1,361.9万kWに上り、約定容量は脱炭素電源が503.0万kW、LNG専焼火力は131.5万kW、約定総額はそれぞれ3,464億円/年、456億円/年となった。
また広域機関では、一定の前提条件に基づき他市場収益の還付額を推計し、これを控除した後の実質的な支払総額の試算についても公表している。一部の試算条件ではJEPXスポット市場価格が高水準であったため、還付額が容量確保契約金額を超過する逆転現象も生じている。なお蓄電池・揚水は、発電コスト検証において可変費・設備利用率が公表されていないため、他市場収益還付額を試算しておらず、表2の還付額控除に含まれていない。
表2の数値は実需給年度が異なる電源の約定総容量と約定総額であり、制度適用期間にわたり一定の値ではないが、ごく単純に、kW・年あたりの約定単価(概算値)を筆者が算出したものが表3である。他市場収益の推定還付額を控除する前の金額であるため、これがそのまま国民負担となるわけでなはないことに留意願いたい。
ここから脱炭素電源はLNG専焼火力より高単価であることや、2024年度は前年と比べて上昇したという大まかな傾向をつかむことができる。
発電方式別に見た応札・落札容量・落札率は図3左の通りである。長期脱炭素電源オークションでは、容量市場メインオークションとは異なり、具体的な落札電源の事業者名・落札案件名・電源種・落札容量が一覧で公開されており、本稿では件数等の情報はこれを参照している。
2024年度に新設された「既設原子力の安全対策投資」区分では、「日本原子力発電:東海第二発電所」「北海道電力:泊発電所3号機」「東京電力HD:柏崎刈羽原子力発電所6号機」の3件・315万kWが落札し、落札容量では最大の発電方式となった。
2023年度(第1回)オークションでは、蓄電池の落札率は24%であったが、2024年度は応札容量がさらに増加したことにより、2区分合計の落札率は約20%に低下した。
長期脱炭素電源オークションの開催はまだ2回であり、オークション結果の比較は時期尚早かもしれないが、発電方式別に落札容量と件数をまとめたものが表4である。2023年度には、既設火力の水素・アンモニア混焼への改修案件で6件・約83万kWの約定があったが、2024年度はアンモニア混焼の応札=落札が1件のみであり、脱炭素燃料への転換は必ずしも順調とは言い難い。
また蓄電池は、2023年度の平均落札容量が36,403kWであったのに対して、2024年度は運転継続時間が「3時間以上6時間未満」区分で45,778kW、「6時間以上」区分で68,117kWと大容量化が進んでいることが分かる。
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