FIT特例①を使用する小売電気事業者は、TSOから計画配分されたFIT発電量をまずは自社需要に充て、これを上回る量はJEPXスポット市場に最低入札価格(0.01円/kWh)で売り入札し、同時同量の達成を目指すこととなる。
ただし、ゴールデンウイークなどの軽負荷期で太陽光発電が多いタイミングでは、0.01円/kWhで入札したとしても、プロラタ按分(比例配分)による部分約定となり「売れ残り」が生じるため、発電量が需要量を上回る「計画不一致」が発生してしまう。
このため2020年4月から運用が変更され、小売電気事業者は、FIT特例①VREの売れ残りを発電計画値から控除した上で発電計画を作成することにより、形式上は同時同量を順守した計画値(翌日計画)を提出している。
他方、FIP電源や非FIT/FIP電源のVRE(主に太陽光)にはこのような特別措置はないため、発電事業者が同時同量を達成するには、プロラタ按分で未約定(売れ残り)となった量を自ら抑制する計画を作成し、前日12時までに翌日計画を提出する必要がある。
その後、TSOは翌日のエリア需給計画を作成し、この時点でエリア内の調整電源や旧電源IIIの抑制、揚水機のポンプアップを行うこととなる。これは、もし先に下げ調整等を行うならば活用できたはずのFIP電源等を、過剰に抑制してしまうという課題を抱えている。
これに対して、同時市場ではSCUCロジックにより、単価が高い調整電源・旧電源IIIが先に出力制御され、限界費用ゼロのFIP電源等は最大限活用されるメリットオーダーが実現すると考えられる。
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