FIT特例①③電源は、現在も最低入札価格(0.01円/kWh)で入札しており、同時市場においても限界費用を最低価格、起動費・最低出力費用はゼロで入札することが考えられる。
また、同時市場ロジック(SCUC)は系統制約を考慮するものであるため、計算処理上はノード単位の売り入札が必要になるが、買取義務者(特に特例①の小売事業者)がノード単位で入札することは現実的ではない。よって現在と同じく、買取義務者の入札はエリア単位で行い、ロジック内でTSOが把握する係数に合わせて分配する方法とする。
FIP電源等については、基本的には図7と同じ方法とするが、必要に応じてThree-Part情報のうち、起動費・最低出力費用の項目活用や、ノード単位・エリア単位の入札を選択可能とする。
FIT制度の趣旨を尊重するならば、FIT特例①③電源の買取義務者が同時市場で都度の入札を行ったとしても、金銭的な負担を生じさせない(収支を±0とする)必要がある。なお現行制度では、インバランス精算に用いられる回避可能費用は、小売買取では「スポット市場+時間前市場価格の加重平均」、TSO買取では「スポット市場価格」と異なっている。
広域機関では、FIT特例①③電源に関し、TSOからの最新の計画配分(再々通知)に基づき同時市場で都度入札(又は計画見直し)を行う場合、VREの出力予測が上振れ/下振れしたとしても、回避可能費用を「前日および時間前同時市場価格の加重平均」としたインバランス精算を行うことで、買取義務者の収支が±0になることを確認している。また、従来通りのインバランスリスク料算定方法を用いることで、TSOのインバランス精算影響分も補填されていることを確認している。
今回の整理では、同時市場の導入により、VREについても効率的な市場取引と需給運用が可能であり、再エネ制御量の最小化と三次調整力②の必要量低減が期待されることが確認された。
他方、FITインバランス特例①の対象電源については、買取義務者である小売事業者には、手間を掛けて時間前同時市場に応札するインセンティブは無いため、何も対策を取らない場合、VREによる時間前同時市場の利用が広がらないおそれもある。
今後FIT特例①から特例③や、FIPへの移行を促す措置などについての検討が求められる。
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