発電計画の作成後、広域機関では再エネ出力制御量を低減させるため、「長周期広域周波数調整」の広域的な組み合わせ処理を行っているが(図5の②)、余剰エリアの同時発生の増加に伴い、処理に要する時間は増加傾向にある。
その後、各エリアのTSOは「③再エネ制御量の算出」と「④オフラインの再エネ事業者への制御指示」を行うが、人間系による処理が必要な部分も多く、相当程度の時間とマンパワーを費やすことが課題となっている。
これに対して同時市場では、SCUCロジックにより、地域間連系線・地内送電線の制約を考慮した上で、最適な需給バランスが算定され、現行の「長周期組み合わせ(按分処理含む)」や「再エネ制御量算出(ノード単位での総量算出まで)」が自動化されるため、人間系処理の課題は相当程度解消すると考えられる。
現在検討会では、同時市場を前日と当日(時間前市場)の両方に導入することを検討しており、VREの出力予測精度向上の観点からも、時間前同時市場の活用が期待される。
FIP電源等であれば、インバランス回避のため事業者は自発的に入札すると想定されるが、FIT特例①③電源の最新の出力予測値を同時市場ロジック(SCUC)に都度反映させるには、TSOは新たな計画配分「再々通知」を行い、買取義務者はこれに基づき、入札又は計画見直しを行う必要がある。これは買取義務者にとって新たな手間(負担)となるため、自主的な入札インセンティブの有無が課題となる(※図6の再々通知や時間前同時市場の時間は一例)。
FIT特例③電源では、買取義務者であるTSOには、三次調整力②の必要量低減等のメリットがあるのに対して、FIT特例①電源では買取義務者である小売事業者が自主的に同時市場で都度の入札対応を行うインセンティブは無いと考えられる。
2017年度以降、FIT電源はすべてTSO買取になっており、固定買取期間(最長20年)を考慮すると、2036年頃にはFIT特例①電源は存在しなくなるため、広域機関では、FIT特例①電源の取り扱いは現行のまま(前日再通知のみ)とすることも一案としている。
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