電力系統向け定置用蓄電池の世界市場、2033年には1.9倍規模に拡大へ：蓄電・発電機器

矢野経済研究所が電力系統関連の定置用蓄電池（ESS）世界市場に関する調査結果を発表した。

[スマートジャパン]

　矢野経済研究所は2025年7月28日、電力系統関連の定置用蓄電池（ESS）世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の世界市場規模は、メーカー出荷容量ベースで254.498GWhと推定している。

　2024年は主要国での再生可能エネルギー発電設備およびESS導入に対する支援制度の強化や、再エネ発電コスト低下による売電利益の改善などが市場拡大に寄与したとしている。国・地域別では北米・中国・欧州を中心に電力系統関連のESSの市場が急拡大しており、これら3地域で世界の出荷容量の8割以上を占めている。

　再エネ発電設備の増加に対応する形で、2025年も電力系統関連で用いられるESS導入は引き続き増加する見込み。2025年の電力系統関連のESS世界市場規模は前年比30.2％増の331.403GWhに達する見通しとした。

電力系統関連定置用蓄電池（ESS）の世界市場規模推移・予測　出典：矢野経済研究所

　カーボンニュートラル実現に向けた世界各国の再エネ発電設備の導入拡大の動きは、今後さらに加速すると見込み。これに伴い再エネ由来の電力供給における出力の変動性や余剰電力の有効活用への対応が一層求められることで、電力系統関連のESS世界市場は、今後も堅調な成長が続く見通し。

　加えて、主要各国では、ESS導入を促進するための補助金や税制優遇などの財政支援策を強化しており、これがユーザー企業の費用負担を軽減する要因となっている。一方で、ESS関連メーカー各社は材料特性の改善や設計手法の最適化により、性能の向上および製造コストの低減を進めている。こうした経済的・技術的側面の進展により、ESSの導入メリットは今後さらに拡大する見通しとした。

　このような背景から、2033年の電力系統関連ESS世界市場規模は、メーカー出荷容量ベースで2025年比約1.9倍の624.253GWh達すると予測。これは2024年の特に中国および北米が最大のシステム導入国として拡大を主導し、世界市場全体の成長を牽引する見込みだ。