2026年度から始まる排出量制度。経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ」の第2回会合では鉄鋼業及びセメント製造業について、排出枠の割り当ての基準となるベンチマーク案が示された。
改正GX推進法の成立により、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者は、2026年度から排出量取引制度への参加が義務付けられることとなった。
本制度では対象事業者に対して、毎年度の排出実績と同量の「排出枠」を保有することを義務づけており、排出枠の割当は「ベンチマーク方式」または「グランドファザリング方式」のいずれかにより行うこととしている。
ベンチマーク(排出原単位)の算定に必要となる活動量の定義や対象プロセスの範囲は業種ごとに異なるため、所管大臣はベンチマーク対象分野を定め、ベンチマークの算定式を設定する必要がある。
経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ(WG)」の第2回会合では、鉄鋼業(高炉・普通鋼電炉・特殊鋼電炉)及びセメント製造業の、計4業種におけるベンチマーク案が示された。
鉄鋼業は、日本のCO2排出量の約13%を占めるエネルギー多消費産業の一つであり、排出量取引制度においては、ベンチマーク方式による排出枠の割当が必要とされている。
鉄鋼の製造プロセスは高炉法と電炉法に大別され、2024暦年粗鋼生産量約8,400万tのうち、高炉(転炉)が6,200万t、電炉が2,200万tとなっている。ただし、CO2排出量(Scope1+2)で見れば、鉄鉱石の還元に伴うプロセス由来のCO2排出が不可避な高炉では128百万t、電炉では5百万t(いずれもScope1+2:2019年度)であり、鉄鋼業CO2の96%が高炉から排出されている。
また、電炉法により製造される鉄鋼製品は、鉄筋コンクリート用棒鋼等の「普通鋼」と高機能な「特殊鋼」に分けられる。これらの製造プロセス・製品種によって、工程や投入エネルギーは大きく異なり、CO2排出原単位にも差が生じている。
よってWG事務局では、鉄鋼業のベンチマーク(BM)策定にあたり、高炉、普通鋼電炉、特殊鋼電炉の3つを区分することとした。
また、同じ製造プロセスであっても各社により製品構成は様々であり、工程や投入エネルギーも異なるため、公平性のあるBM指標を策定する観点から、各社で共通的な「上工程」と、各社で相違の大きい「下工程」に分けて排出原単位を策定することとした。
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