排出量取引制度、「鉄鋼・セメント製造業」の排出枠割当に向けたベンチマーク案第2回「製造業ベンチマークWG」(4/5 ページ)

» 2025年09月10日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

特殊鋼電炉向けベンチマークの対象範囲及び割当量の算定式

 特殊鋼電炉業は、鉄スクラップを電気炉で溶解するなどの基本的工程は普通鋼電炉と同様であるが、クロムCrやニッケルNi等の元素を添加することにより、用途に適した特性を持つ鋼を生産しており、自動車や産業機械等で使用されている。

 普通鋼電炉業では鋳片(半製品)を生産するにあたり、製造品種によって電炉より後の一部工程(熱処理等)の有無が異なるため、鉄スクラップを電炉等で溶解するまでを上工程、電炉より後の鋳片(半製品)生産及び鋼材製品を生産するまでを下工程として、両者をベンチマークの対象範囲とする。

図6.特殊鋼電炉ベンチマークの対象範囲 出典:大同特殊鋼

 上工程は、最終製品により生産設備構成が大きく変わらないため、「粗鋼生産量当たりの排出原単位」をベンチマーク指標として、下工程では製品によって工程の種類・数やエネルギー投入が大きく異なるため、「投入した燃料の熱量当たりの排出原単位」をベンチマーク指標とする。

 上工程においてコークス等炭材の使用に係る直接排出比率補正を行うことは、普通鋼電炉の排出枠割当量算定と同様である。

 以上より、特殊鋼電炉の排出枠割当量 = 上工程【目指すべき排出原単位 × 直接排出比率 × 基準活動量】+下工程【目指すべき排出原単位 × 基準活動量】として、「目指すべき排出原単位」は、先述図1の上位X%に相当する水準をもとに毎年度設定される。

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