排出量取引制度、「アルミ・石灰・ゴム製品製造」などの排出枠割当に向けたベンチマーク案第3回「製造業ベンチマークWG」(1/4 ページ)

2026年度から始まる排出量制度。経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ」の第3回会合では、アルミニウム、石灰、カーボンブラック、ゴム製品製造業について、排出枠の割り当ての基準となるベンチマーク案が示された。

» 2025年10月08日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 改正GX推進法の成立により、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者は、2026年度から排出量取引制度への参加が義務付けられることとなった。

 本制度では対象事業者に対して、毎年度の排出実績と同量の「排出枠」を保有することを義務づけており、排出枠の割当は「ベンチマーク方式」又は「グランドファザリング方式」のいずれかにより行うこととしている。

図1.ベンチマークとグランドファザリング 出典:製造業ベンチマークWG

 ベンチマーク(排出原単位)の算定に必要となる活動量の定義や対象プロセスの範囲は業種ごとに異なるため、所管大臣はベンチマーク対象分野を定め、ベンチマークの算定式を設定する必要がある。

 経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ(WG)」の第3回会合では、アルミニウム、石灰、カーボンブラック、ゴム製品製造業の、計4業種におけるベンチマーク及び排出枠割当量算定式の案が示された。

アルミニウム産業 ベンチマークの対象範囲(バウンダリー)

 アルミニウム製造工程全体のうち、電力を大量消費する製錬工程は現在日本では行っていないため、原料(アルミ新地金)はすべて海外から輸入し、国内では圧延等の加工工程を行っている。

 このアルミニウム新地金や同再生地金を溶解して鋳塊(スラブやビレット)を鋳造し、スラブは板状に圧延して条や箔に、ビレットは押出製法により形材、管、棒及び線となり、これらを総称してアルミニウム圧延品と呼ぶ。アルミニウム圧延品を製造する日本のアルミニウム産業は、アルミニウム圧延業とも呼ばれる。

図2.アルミニウム製品の製造工程 出典:日本アルミニウム協会

 2023年度の日本のアルミニウム生産量は約129万トン、このうち、カーボンニュートラル行動計画に参加する企業10社による生産量は約109万トンであり、そのCO2排出量は約106万トンである。アルミニウム産業はエネルギー多消費産業の一つであり、排出量取引制度においては、ベンチマーク方式による排出枠の割当が必要とされている。

 なお、アルミニウム産業において排出量取引制度の対象となる事業者は、3社と報告されている。

 アルミニウム産業のベンチマークの対象範囲(バウンダリー)は、原料を事業所に搬入して溶解等を行い、鋳塊(スラブ、ビレット)を生産するまでの「上工程」と、鋳塊を均熱処理・圧延等を行い、アルミ製品を生産するまでの「下工程」の双方について、それぞれ排出原単位の算定式を設けることとした。また、製品により上工程のエネルギー消費量に大きく差が生じるため、この補正についても検討を行った。

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