アルミニウム産業では、特殊な合金種を少量生産することもあれば、アルミ缶に使用される汎用合金を多量生産するなど、幅広い製品を製造している。
製品によってそれぞれ使用する「炉サイズ」が異なり、溶解効率が変化するため、エネルギー消費原単位に大きな差が生じる。また製品によって「成分調整に必要な鋳造時間」が異なり、時間当たりの鋳造回数である「チャージ数」によって生産効率が変化するため、エネルギー消費原単位に大きな差が生じる。
これらの差は省エネ努力だけでは挽回できないものであるため、公平性の観点から、「炉サイズ」と「チャージ数」の違いによる排出原単位の差を補正することとした。
「炉サイズ」を例に取ると、まず各社の炉ごとのデータから回帰式を算出し、回帰式に平均的な炉サイズを代入し、「平均的な炉サイズの排出原単位」(図3の赤線)を算出する。
次に、各炉サイズを回帰式に代入し得られた排出原単位(分母)と、「平均的な炉サイズの排出原単位」(分子)の比率から当該炉サイズにおける補正係数(図3の10tでは1.0/1.3)を得る。次に、各社のそれぞれの炉に炉サイズごとの補正係数を乗じて、各炉における補正後の排出原単位(図3の黄色の丸)を得る。
最後に、各炉における補正後の排出原単位を用いて「目指すべき排出原単位」を割り出すこととする。
なお、当該業界が「目指すべき排出原単位」とは、各社の炉サイズ・チャージ数が業界平均と同等になったと仮定したものであるため、各社の実態に即した割当量を算定するためには、各社ごとの補正係数で割り戻すことにより再度調整する。
以上より、上工程の排出枠割当量の算定式は、以下の通りとなる。上工程の基準活動量とは、2023〜2025年度における各社ごとの「鋳塊(半製品)の生産量」とする。
また、下工程の目指すべき排出原単位 は「排出量÷製品生産量」の値として、下工程の基準活動量は2023〜2025年度における各社ごとの製品生産量とする。なお本制度において「目指すべき排出原単位」は、アルミニウム産業に限らず、業種ごとに上位X%(図1)に相当する水準をもとに毎年度設定されるものである。
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