カーボンブラックとは、3〜500nm程度の微細な炭素の粒子であり、タイヤ等のゴム製品の補強やインキ・塗料の黒色顔料、導電材等に幅広く使用され、国内では約53万トンが製造されている。国内では重質油を原料としてオイルファーネス法で製造され、製造時に排出するCO2の90%以上が反応炉由来の非エネルギー起源CO2である。
よって、カーボンブラック製造業においては、オイルファーネス法に伴う共通の製造設備を対象とし、カーボンブラック生産量当たりのCO2排出原単位をベンチマークとした。
原料由来の副生ガスは、通常、事業所内のボイラー・自家発電機により、カーボンブラックの製造エネルギーとして活用されているため、副生ガスの全量をベンチマーク対象範囲に含める。ただし、他の事業者に外販している副生ガスは別途検討を行う。
なお、同一事業所の中で化成品等を製造している場合は、カーボンブラックのベンチマークから切り出して排出枠の割当を行う。
またカーボンブラックは、品種・品質により、排出原単位が大きく異なる。このため、ベンチマーク水準の設定にあたっては、品種構成に起因する排出原単位の差がならされるよう、各社の品種構成を同じと仮定するための補正を行った上で、各社実績を比較し、上位〇%(図8左下)に相当する水準を決定する(※アルミニウム産業の炉サイズ・チャージ数補正も、図8と同様の考え方)。
以上より、カーボンブラック製造業のベンチマーク指標及び排出枠割当量の算定式は、下記の通りとし、基準活動量は2023〜2025年度におけるカーボンブラックの平均生産量とする。
日本のゴム製品生産量116万トン(2024年)のうち、自動車タイヤ・チューブが80%を占めており、排出量取引制度の対象となる直接排出量10万トン以上の事業者は、タイヤ4社のみである。
ゴム製品の製造工程は基本的に、練り混合→押出・裁断→成型→加硫の4工程で構成されており、これらをベンチマークの対象範囲(バウンダリー)とする。
ただし、ゴム製品は品種が多様であるほか、事業所間でゴムや材料・部材の供給を行うなどフレキシブルな生産体制としているため、事業所ごとのエネルギー使用量にばらつきが生じている。
よって、ベンチマーク指標算定式の分母(活動量)に、ゴム製品の生産量を用いることは難しいと判断し、分母に「投入した燃料の熱量」を用い、これで分子の「直接排出量」を割って算出する「燃料ベンチマーク」とすることとした。
また、排出枠割当量は「ベンチマークの目指すべき水準 × 基準活動量」として、基準活動量は2023〜2025年度における投入燃料による熱量の平均値とする。
これまで製造業ベンチマークWGでは、排出規模の大きい主な製造業のベンチマーク及び排出枠割当量の算定式の案が示されてきた。WGでは今後、各業種におけるベンチマーク水準の検討を行う予定としている。
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