資源エネルギー庁の「発電ベンチマーク検討ワーキンググループ」の第2回会合が開催。排出量取引制度における発電部門向け発電ベンチマークの「対象者」や、「対象範囲(バウンダリー)」に関する検討が行われた。
改正GX推進法の成立により、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者は、2026年度から排出量取引制度(GX-ETS第2フェーズ)への参加が義務付けられることとなった。
発電部門のCO2排出量は国内最大の約4割を占めており、2033年度開始の第3フェーズにおいて、排出枠の有償オークション導入予定が明示されている唯一の部門である。また、本制度では対象事業者に対して、毎年度の排出実績と同量の「排出枠」を保有することを義務づけており、発電部門では「ベンチマーク方式」により排出枠の割当を行うこととしている。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、電源の脱炭素化を進める必要がある一方、DXやGXの進展に伴う電力需要の増加が見込まれており、発電部門におけるベンチマークの検討においては、電力の安定供給の確保や脱炭素化に向けた取り組みなどといった、発電部門を取り巻く状況も十分に考慮する必要がある。
資源エネルギー庁の「発電ベンチマーク検討ワーキンググループ(WG)」の第2回会合では、発電ベンチマークの「対象者」や「対象範囲(バウンダリー)」に関する検討が行われた。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故以降、日本の電源構成に占める火力発電の比率は急上昇したが、その後は減少傾向にあり、2023年度の火力発電比率は約69%である。
化石燃料による火力発電はCO2を排出するという課題がある一方、発電電力量の約7割を占める「供給力」、再エネ等による出力変動等を補う「調整力」、系統の安定性を保つ「慣性力・同期化力」等として、重要な役割を担っている。ただし足元では、再エネ電源の導入拡大や原子力の再稼働が進む中で、火力の発電電力量や設備利用率(稼働率)は減少傾向にある。
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