FIT/FIP制度の導入により、現在では70万以上の事業者/個人が大小様々な「発電」を行っている。ただし、従来から電気事業法では、「発電事業」を営むことを国に届出した者を「発電事業者」と定義しており、現在その数は1,259者に上る。
なお「発電事業」とは、図8のいずれの条件にも該当する発電等用電気工作物から、小売電気事業等の用に供する電力の合計が1万kWを超えるもの、と定義されている。つまり、大規模な自家発電であってもその大半を自家消費する場合などは、発電事業には該当しないこととなる。(※製造業の自家発電は、製造業ベンチマークによりカバーされる)
また発電事業者には、毎年度の「供給計画届出書」や毎月の「発受電月報」の提出義務や経済産業大臣の供給命令に従う義務など、様々な義務が課されている。
以上より、排出量取引制度における発電ベンチマークの対象者は、火力発電設備を保有する「発電事業者」とした。ただし、GX推進法の義務対象者から、国と地方公共団体は除かれており、発電事業を行う公営企業局等は対象とはならない。
資源エネルギー庁では、火力発電所を有する発電事業者に対して発電電力量及びCO2排出量に係る実態調査を行い、発電ベンチマークの「算定方法」や「水準」を検討する予定としている。
発電設備からは電力だけでなく熱や蒸気が得られるほか、自営線を通じた自家消費といった形態も想定される。
このためWG事務局では、発電ベンチマークの「対象範囲(バウンダリー)」は、発電事業による発電電力量及びCO2排出量として、自営線を通じた自家消費分及び自己託送分(特定供給含む)は発電ベンチマークの対象外とする。
なお自家消費については、「発受電月報」の定義(所内電力量ではない自己の消費に供する電力量)を参照しながら、別途検討が進められている「製造業ベンチマーク」の対象範囲と整合を図ることとする。
自家発電設備により自社の「製造業ベンチマーク」対象プロセスにおいて使用する電力・熱・蒸気に係るCO2排出量は、製造業ベンチマークによる割り当てを行い、その他はグランドファザリングによって割り当てることとする。
WG事務局では事業者ヒアリング等を踏まえ、次回以降のWGにおいて、発電ベンチマークの対象電源(活動量の対象)や副生燃料の混焼の扱いを検討し、ベンチマーク水準や排出枠割当量の算定式を作成する予定としている。
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