エリア横断の効率的な電力供給を実現へ 「次期中給システム」を2032年度に運用開始第60回「需給調整市場検討小委員会」(1/4 ページ)

一般送配電事業者各社が運用する「中央給電指令所システム(中給システム)」のリニューアルに向け、第60回「需給調整市場検討小委員会」では新たに追加を予定する機能の詳細などが報告された。次期システムでは、SCUC(潮流制約を考慮した電源の起動停止計画)機能やSCED(潮流制約を考慮した電源の経済負荷配分)機能、さらに電力需要や再エネ発電量の予測機能などが追加される方針だ。

» 2026年03月19日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 現在、国内10エリアの一般送配電事業者(一送)各社は、それぞれが「中央給電指令所システム(中給システム)」を保有・運用し、自社エリアの電力の安定供給に努めている。

 一送各社ではこれまで、段階的な調整力の広域運用を進めると同時に、これまで一送各社で異なっていた需給・周波数制御(LFC・EDC機能等)の仕様の統一を進めてきている。2023年度から開始されたレベニューキャップ制度においても、「中給システムの仕様統一化」という目標が掲げられている。

 さらに一送各社では、社会的に最適な中給システムの実現や将来の制度変更への柔軟な対応のため、仕様の統一に留まらず、さらなる効率化の取り組みとして、中給システムの「共有化」を実現する「次期中給システム」の開発に向けた検討を進めてきた(※ただし、沖縄はシステム共有化の対象外)。

図1.現行及び次期中給システムのイメージ 出典:送配電網協議会

 2025年11月に次期中給システムの基本設計フェーズが完了したことから、第60回「需給調整市場検討小委員会」において、送配電網協議会から次期中給システムの主な機能や効果等が報告された。

現行中給システムの運用と次期中給システムで目指すもの

 現行の中給システムは、もともとエリア内の需給制御を行うことを目的として構築されたものであり、再エネ出力制御や地内系統の混雑処理は各エリアの中給システムで行っている。

 このため、広域メリットオーダー(以下、MOと省略)を実現するため、中給システムの外側に別途「広域需給調整システム(KJC)」を設け、2020年から運用を行っている。KJCは現行中給システムの機能を活用し、連系線潮流を制御することで、インバランスネッティングや広域メリットオーダー(以下、MOと省略)を達成する仕組みであるが、地内送電線の混雑は考慮していない。そのためノンファーム型接続等による今後の地内送電線混雑の増加を踏まえた、より高度な広域MOが求められている。

 これらの現状を踏まえ、次期中給システムでは、SCUC(潮流制約を考慮した電源の起動停止計画)機能とSCED(潮流制約を考慮した電源の経済負荷配分)機能を追加することとした。ただし、ここでの混雑処理対象は原則、上位2電圧の基幹系統のみである(調整電源が接続する一部の下位系統も対象)。

図2.現行中給システムとKJCの連携 出典:送配電網協議会

 次期中給システムで実現を目指すものは、以下の表1のようにまとめられている。

表1.次期中給システムで実現を目指すもの 出典:送配電網協議会
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